宮古市内の有志らによる「南部鮭(さけ)加工研究会」が、北上山地の広葉樹でじっくりといぶした鮭の燻(くん)製づくりを、厳寒の川井村区界高原で始めた。20度以下の低温での本格的な冷燻製造は本州では初めてといわれ、新巻きなど加工が限定されていた鮭の新たな特産品として期待を集めている。
村産業開発公社の施設を借り受け、高さ3メートルの室2基を設置。塩抜きした鮭を、ナラやケヤキなどのおがくずを燃やして15度前後でいぶす。3枚下ろしの身は1週間から10日で、皮を付けたままの棒燻は1カ月で出来上がる。
鮭は宮古湾で漁獲した脂肪分の少ないブナ毛の雄。脂焼けしないという。寒さが厳しい区界を選んだのは低温管理が容易なためで、昨年の試作を経て今冬から本格的に製造を開始。「区界冷燻」の商品名で市内の「道の駅なあど」などで販売を始めたところ、「いける」と観光客から好評だ。
宮古水産高勤務時代に鮭の加工法の研究に取り組んで「鮭博士」とも呼ばれる同会顧問の中嶋哲さん(77)は「いぶすことでたんぱく質がうまみ成分のアミノ酸に変わる。宮古からは大量の鮭が加工せずに中国に輸出されているが、もったいない」と強調。会長の佐々木信男さん(61)も「古里の香りのする安全で安心な無添加の特産品を作りたい」と夢を膨らます。
値段は棒燻が4500~5000円と新巻きよりは割高。問い合わせは佐々木さん(電話090・4315・6538)。【鬼山親芳】
毎日新聞 2009年1月23日 地方版