ニュージーランドのあと、フィジーに渡った。
若いころ、フィジーを何度も訪れ、フィジー人やインド人の友人が大勢いるという家人の願いだ。実際に行ってみると、彼は、私が想像していた以上の大歓迎を受けた。
そんな中、フィジー人の一般家庭の食事を見せてもらおうと、彼の友人のひとりであるフィジー人女性ロセーナさんに会いに行った。彼女は小学校の先生になっていた。学校に行くと、ちょうど昼休みで、事務所で彼女に会う。例によって彼女も家人との再会を大げさなくらい驚いていた。近況報告が終わると、私はダメモトで彼女に頼んでみた。小学生の給食を見せてもらえないかと。
彼女は快諾してくれ、自分のクラスのフィジー人の女の子ふたりを呼び、ランチボックスの中を見せてくれるように言った。
ひとりの中身は、丸ごと一匹の魚を素揚げしたものと、フィジー人の伝統的な主食であるキャッサバ芋、そしてポテトフライというラインアップ。もうひとりのは、炊き込みごはんのようなものにパスタが混ぜ込んである一発モノ。どちらも、以前にこのコラムで紹介したダブル炭水化物ものだ。
ロセーナさんは、最近ではフィジー人も手作りのお弁当が少なくなったと嘆いていた。
数日後、ロセーナさん宅の夕食に招かれた。丘の斜面にあるこぢんまりした家。でも、周りには果物、ハーブ、野菜、サトウキビなどが所狭しと植わっている。それらを乾燥ココナツの燃料で起こした火で調理する。
芝生の上にシートを敷いて、家族の車座に交ざる。敬虔(けいけん)なクリスチャンである一家は、神に祈りをささげてから食事に入る。
これもフィジー人の伝統的主食であるタロ芋、煮魚、とうもろこし、野菜炒めなどをいただいた。どれもシンプルな味付けの素朴なものだが、心にしみる味わい。
フィジーが強いスポーツといえば、16年のオリンピックで正式種目になる7人制ラグビー。強さの秘密は、どんな食事から生まれるのか知りたくなった。【海老久美子・管理栄養士、博士(栄養学)】
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毎日新聞 2010年3月15日 大阪夕刊