◆社会部・佐々木雅彦(43)
抗がん剤を血液に乗せて全身をめぐらせ、がん細胞を攻撃する化学療法が2月16日に始まる。その副作用を担当医は事前に丁寧に教えてくれた。吐き気、口内炎、脱毛、便秘、手先や足先のしびれ。それらに加えて、免疫をつかさどる白血球と出血を止める血小板、そして全身に酸素を運ぶ赤血球も激減する。
ただし、生殖能力への影響の説明はなかった。同僚に聞かなければ何も知らないままだった。男として精神的に重い衝撃を受け、担当医に改めて説明を求めた。
私に投与される抗がん剤は4種類。うち1種類には無精子症に関する報告があり、その影響は一時的という。ほかの3種類は報告がなく影響の有無は不明。将来のために精子を冷凍保存しておくのは、冷凍技術が確立されていないので勧められないという。
思いも寄らないことを聞き、抗がん剤のことをもっと知ろうと、病院内の患者用資料室に行った。ある解説書を読むと、「抗がん剤の起源は第一次世界大戦で使われた毒ガス兵器」と書かれていた。<佐々木記者は化学療法を終えて、9月4日退院し、自宅療養を始めました>
毎日新聞 2009年9月8日 地方版