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どうする「未病」

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乳幼児期の食べ方がかみあわせに与える影響とは

 ◇咀嚼がおかしい子どもの背景 「ほ乳期、離乳期」の問題点

 「食べるときに口いっぱいにほおばる」「ペチャクチャ音をたてる」「丸のみをする」……。3歳を過ぎたお子さんにこうした兆候がある場合、「かむこと(咀嚼=そしゃく)」に問題が生じている可能性があります。

 こうした子どもにスプーンで食べ物を与えるとうまく唇で取り込めず、何度やってもこぼしてしまうようなことがあります。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。咀嚼のためにまず重要なのが唇です。特に大事なのが上唇で、食べ物を口の中に取り込む役割を担っています。上唇をうまく使えない子どもは、口の中に食べ物を無理に押し込むことになり、丸のみに近いかたちで摂取をすることになってしまいます。

 舌の動きもポイントになります。食べ物を前の歯でかみきり、奥の歯でかみ砕くという複雑な動作のためには舌の動きが欠かせません。舌が十分に動かない状態では食べ物の移動もスムーズにいかなくなってしまいます。咀嚼がうまくできないと「ストローで飲料がうまく吸えない」「お誕生日のろうそくの火を吹き消すことができない」など、さまざまな動作に支障が出てきます。

 咀嚼の原点はほ乳期・離乳期にあり、この時期の食事の与え方が食べ方に大きく影響します。まず、ほ乳期はおっぱいを吸うことによって唇や舌、あごが自然に鍛えられます。しかし、人工乳の場合、こうした機能がうまく発達しない可能性があります。ほ乳瓶の乳首にはいろんなタイプがありますが、穴の大きいLサイズを使用している乳児では舌や下あごがほとんど動いていなかった、という調査報告があります。

 また、離乳食を与える時はスプーンを下唇に軽く触れさせ上唇でとらえるというのが上手な与え方ですが、唇に触れることなく口の奥へ入れたり、直接上唇にスプーンの食べ物を押し当てる親御さんがいます。この与え方では「食べ物を取り込む」という唇の訓練ができず、その結果、唇がなんとなくゆるんだ感じになったりします。いろんな物をなめたり、しゃぶったりさせましょう。離乳後期には手づかみ食べをおおいにさせ一口の量を覚えさせましょう。かむ力がまだ十分ではないのに固い離乳食を与えることなども問題となります。

 食事の与え方以外にも咀嚼の問題が生じる原因がいくつかあります。例えば、おしゃぶりを2歳以降も続けている場合、口を閉じても前歯や側方の歯が上下でかみあわなくなる「開咬(かいこう)」などの異常が起こりやすいことがわかっています。指しゃぶりの癖も同じリスクがありますので注意しましょう。

乳児の虫歯
乳児の虫歯

 また、むし歯を未治療のままにしていたり、失った歯をそのままにしておいたりすると健康な歯だけでかむ癖がついてしまいます。咀嚼の問題から片側だけの歯で食べる生活を何年も続けていた結果、左右の顔がアンバランスになってしまった方を何人か診ています。

 咀嚼に異常があると食べ物の消化・吸収に支障が出て、栄養が十分に取り込めなくなります。また、顎など口腔(こうくう)器官の発達も悪くなり、歯並びにも問題が起こってしまいます。また、咀嚼は脳の発達とも連動しており、そのためにも「正しくかむこと」は非常に大切です。

増田純一さん
増田純一さん

 親御さんはぜひ、小さいころから子どもの食べ方をよく観察していただきたいと思います。そして「おかしいな」と思ったら早めに歯科医に相談してください。日本顎咬合学会では正しい咀嚼の指導および治療に力を入れています。きちんとかめるようになった子どもたちは自信がつき、顔つきが生き生きとしてくるのが印象的です。(日本顎咬合学会・増田純一)

 増田純一さん 九州歯科大学卒。佐賀県武雄市でマスダ小児矯正歯科医院を開業。日本小児歯科学会認定専門医。日本小児歯科学会理事。共著に「デンタルイマジネーション」など。

2009年11月2日

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