時代を駆ける:星寛治/1 「共生」で震災から再生を

毎日新聞 2012年06月19日 東京朝刊

 ◇KANJI HOSHI

 農の営みを通じ、人と自然、人と人の共生を考える山形県高畠町の「まほろばの里農学校」が今年、開校20周年を迎えた。その原点は約40年前、全国に先駆けて有機農業に取り組んだ地域の若者たちのグループだ。先頭を歩んできた星寛治さん(76)は今、東日本大震災と原発禍に揺れる日本の再生は共生の理念によるしかないと訴える。

 《自然の持つ本来の力で安全かつ高品質な農産物を作る有機農業。しかし、同じ自然が多くの人命と生活を奪った》

 被災地の途方もない惨状を目の当たりにし、息をのみました。私たちは自然の恵みに生かされているが、その自然がひとたび牙をむけば、こんな大災厄をもたらす。自然に対する謙虚さと畏敬(いけい)の念を忘れてはいけないと改めて強く思いました。同時に、未来ある子供たちを含め多くの命と生活が奪われたことに衝撃を受け、しばらく虚脱状態でした。

 《地震と津波に追い打ちをかけた原発事故。影響は高畠町にも及んだ》

 山形県内で放射能の影響は軽微でしたが、消費者の反応は厳しく、高畠町でも産直契約が半減しました。消費者の不安は当然で、私たち生産者が検査データなどを示し、丁寧に説明しなければいけません。顔の見える関係、生身の交流の大切さを改めて痛感しました。

 《昨年7月に出版された「脱原発社会を創る30人の提言」に「原発と有機農業は共存できない」との一文を寄せた》

 原発事故後、福島県二本松市で有機農業を営む知人と電話で何度も連絡を取りました。30年ほど前、私のところで研修した気骨ある農家です。彼は不屈の精神で放射能と闘っていますが、食の安全を目指してきた有機農家には最大のダメージです。原発事故は、科学技術の進歩や経済成長が必ずしも人間を幸福にしないことを示しました。本当に大切なこと、真の復興とは何かを考えなくてはいけません。

==============

 聞き手・行友弥 写真・小川昌宏/火〜土曜日掲載です

==============

 ■人物略歴

 ◇ほし・かんじ

 1935年9月7日、山形県高畠町生まれ。有機農業のほか、町おこしや教育でもリーダー的存在(写真は5月下旬、田植え前の田んぼで)

毎日新聞社のご案内

TAP-i

毎日スポニチTAP-i
ニュースを、さわろう。

毎日新聞Androidアプリ

毎日新聞Androidアプリ

MOTTAINAI

MOTTAINAIキャンペーン

まいまいクラブ

まいまいクラブ

毎日RT

毎日RT

毎日ウィークリー

毎日ウィークリー

Tポイントサービス

Tポイントサービス

毎日jp×Firefox

毎日jp×Firefox

毎日新聞のソーシャルアカウント

毎日新聞の
ソーシャルアカウント

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞社の本と雑誌

毎日新聞社の本と雑誌

サンデー毎日

サンデー毎日

毎日プレミアムモール(通販)

毎日プレミアムモール(通販)

毎日新聞のCM

毎日新聞のCM

環境の毎日

環境の毎日