社説:「16日解散」表明 首相の決断を評価する

毎日新聞 2012年11月15日 02時30分

 国民注視の中、異例の解散宣言だった。野田佳彦首相は14日の党首討論で、あす16日に衆院を解散する考えを表明した。民主党内には依然、早期解散に反対する声が渦巻いているが、首相は年内総選挙に突き進む覚悟とみられる。私たちは首相の決断をまず高く評価したい。

 民主党政権が発足して3年余。首相が何かを決めようとしても足元の民主党内からすぐさま反対論が噴出してまとまらない光景を私たちは何度も見てきた。政権運営は限界に近づいており、ここは有権者の選択によって政治を立て直すのが「動く政治」実現への近道と考えるからだ。

 ◇「0増5減」立法は必要

 党首討論で首相がどこまで解散時期に踏み込むか疑心暗鬼だった自民党の安倍晋三総裁も面食らったはずだ。野田首相は衆院小選挙区の「1票の格差」を是正するための「0増5減」の法改正を実現させるとともに、来年の通常国会で大幅な定数削減を図ることなどを条件に挙げ、それを安倍氏が確約すれば「16日に解散してもいい」と逆提案した。

 安倍氏は直ちに答えられなかったが、討論後、自民党は定数削減に関しても協力する考えを表明、これで解散の条件は整った。

 野田首相が自民党の谷垣禎一前総裁と「近いうち解散」を約束してから既に3カ月以上が経過した。首相が年内総選挙に踏み切る決断をしたのは、「うそつき」と批判されるのが相当こたえていたからだろう。

 民主党は衆院でも過半数割れ寸前で今後、内閣不信任案が可決される可能性もある。追い込まれた形での解散を避け、攻めの姿勢をアピールしたい思いもあったはずだ。

 次期衆院選の台風の目と見られている日本維新の会など「第三極」の結集に向けた各党協議はまだ始まったばかりで、候補者調整も含め準備が整わないうちに選挙戦に突入した方が、苦戦が必至の民主党には得策という計算もあっただろう。

 しかし、首相が政治生命をかけると明言してきた消費増税法は成立したものの、税と社会保障の一体改革はまだ道なかばだ。民主党は小沢一郎元代表らの大量離党後も消費増税に反対して離党する議員が後を絶たない。このままでは自民党、公明党との間で結んだ3党合意も瓦解(がかい)しかねない。野田首相が最も恐れたのはそれではないか。

 反対が相次ぐ中で解散に踏み切れば、民主党には新たな離党者が出る公算が大きい。だが、それも覚悟しての決断と思われる。そもそも民主党は9月の党代表選で野田首相の代表再選を決定したばかりだ。解散は首相の専権であり、その判断には最終的に従うのが政党人の責務だ。

 ただし、「16日解散」には危惧する点がある。本当に「0増5減」の立法措置が間に合うかどうかだ。

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