サラダボウル:シュール・ジャパン=堀山明子

毎日新聞 2013年08月19日 12時56分

 米国の金融専門誌「アメリカン・バンカー」7月号で、日系銀行「ユニオンバンク」(UB)の岡昌志頭取が表紙を飾り、「信頼度のリセット」という見出しが躍った。米大手30行を対象にした同誌の信頼度調査で、昨年の21位から首位に急浮上したためだ。「曲がったことをしない」という社のモットーを前面に出した広告が好感を呼び、信頼度の基準に変化をもたらしたのだという。

 UBは三菱UFJフィナンシャル・グループの連結子会社で、米西海岸を中心に展開する大手地銀。2008年の米金融危機の引き金になった低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)に手を染めず、手堅い経営をしてきた。しかし危機から5年もたって、今なぜ注目されているのか不思議だった。「高校に支店を開いて金融教育に力を入れたり、小口客を大切にしたりする手作り感がジワリと評価されたのかな」とUB関係者。地道な努力は米国でも見直されているのだろうか。

 米社会で日本が久々に注目された話題はもう一つ、ロサンゼルスの観光名所「J・ポール・ゲティ美術館」が企画した日本人写真家2人の特別展だ。3〜8月の開催期間中、26万人以上が訪れた。タイトルは「日本近代の相違」。ドキュメンタリー写真家の濱谷浩(1915〜99年)と、シュールレアリスム(超現実主義)運動に身を投じた山本悍右(かんすけ)(1914〜87年)のコラボ展だ。

 泥だらけで田植えをする農村女性のリアルな写真。その隣室には、女性の裸体をモチーフにした前衛写真。同時代に生きた対極的な2人を並べようという発想に驚いた。「伝統と近代化。東洋と西洋。二つの価値観は日本では共存している。その幅の広さを示したかった」と学芸員のアマンダ・マドックさんは企画の狙いを語る。アメリカ人にはどちらもシュールで異質な日本にしか見えないのではと心配になったが、会場にいた白人女性は「ひたむきな日本人の姿が見える」と感心していた。

 世界に発信する日本文化といえば、アニメや原宿ファッション。経済産業省は「クール・ジャパン」と称して推進中だ。変化球が通じたものだから最近はそればかり投げている。でも、言うのも気恥ずかしい直球の「ひたむきさ」は、まだまだ世界で通じる。(ロサンゼルス支局)

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