ネットバンキングは大変便利なものです。けれども、利用に当たっては十分な警戒も必要です。というのはネットバンキング利用者の本人がまったく気づかないうちに預金が不正に引き出され、犯人側に送金されてしまう、「不正送金事件」が相次いでいるからです。

不正送金被害、2014年は29億円!

 警察庁によると、2014年のネットバンキング不正送金被害は1876件、被害額は約29億円にのぼっているそうです。国際的な犯罪組織が背後にいるといわれています。ひょっとすると、あなたの預金もいつの間にか不正に送金されているかもしれません!

 被害にあわないためには、まず自分のID、パスワード(PW)をしっかりと管理することです。PWに自分の誕生日や自宅住所を使うなどの方法だと、犯罪組織にすぐに察知されてしまいます。また、PWを定期的に変える努力も必要です。「ワンタイムPW」(使い捨てPW)といって、使うごとにちがうPWを使う方法をとっている銀行もあります。

 また、自分のID、PWを簡単には入力しないようにする注意も必要です。少し前までは、銀行からのメールにそっくりのメールを送り付け、「新しいセキュリティーシステムのため、必要です」などと、利用者をだましてユーザーにID、PWを入力させる「フィッシング」という手口が横行していました。ID、PWを「釣り上げる」わけです。

 盗んだID、PWを悪用して犯人たちがユーザーになりすまして不正送金をするのです。いまは銀行側の「メールでID、PWをご入力いただくことはしません」という通知が行き届き、あまり発生は見られなくなりました。が、依然として注意は必要です。

ネットバンキングを悪用する最新手口

 最近は「不正送金用のウイルス」が増えています。PC(パソコン)にウイルス対策ソフトを入れて、こまめに更新しておくことが大切です。銀行によっては不正送金ウイルスを駆除するための「対策ソフト」を無料で配布しているところもあります。面倒くさがらず、入力しておくべきです。

 最近の不正送金用のウイルスとしては「ボートラック」(VAWTRAK)が有名です。2014年5月に初めて不正使用が確認されました。

 PCがボートラックに感染すると、きちんとネットバンキングにログインしているのに、勝手にウイルスが動きだして不正送金されてしまいます。「ワンタイムPW」も効力がなく、大きな問題になっています。警視庁は2015年4月から、ボートラック・ウイルスに感染している国内外8万2000台のPCに「ウイルス対策データ」を送信するなど、対策に乗り出しました。

 「不正送金ウイルス」にいつ感染するのでしょうか。一つは、ネットでいろいろなサイトを閲覧したときです。少し前までは「アダルトサイト」など、ウイルスが仕込まれている雰囲気満載のサイトでしたが、最近では官公庁や大手企業のサイトを装った「仕込みサイト」が増えています。もう一つはメールを開けたときです。あまり必要性のないサイト検索はしない、不審なメールは開けないといった注意が必要です。

 <「ネット地雷を踏まない技術」は今回で終わります>

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中島茂

中島茂

弁護士、中島経営法律事務所代表

1949年、東京都生まれ。77年東京大学法学部卒、79年弁護士登録。83年、企業経営法務を専門とする中島経営法律事務所を設立した。企業経営に法務の知識を活用すべきだとして、早くから「戦略法務」を提唱した。企業の危機管理や企業法務の第一人者。「その『記者会見』間違ってます!」(2007年、日本経済新聞出版社)、「人気弁護士が教えるネットトラブル相談室」(14年、日本経済新聞出版社)など著書多数。

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