前回「株式投資『買ったら忘れろ』のウソ」では、10〜20銘柄への分散投資をおこない、自分が投資している銘柄は、ちゃんと目配り、モニタリングを怠らないようにしようと述べた。

 投資している企業の事業環境や個別の材料を適宜、吟味しよう。最低でも四半期の決算発表はチェックしよう。最近はインターネットでの情報開示が充実している。たいていの上場企業のホームページにいけば、投資家向け情報(IR)ページがあり、そこには決算発表で使われるプレゼンテーションや財務ハイライトなどを見ることができる。

悪材料が出たら、とにかく手放す

 業績の定点観測だけでなく、突発的に悪材料が出てくることがあるから日々のニュースも追うようにしよう。不祥事、不正会計、過失、事故、企業犯罪、なにが出てくるかわからない。悪材料が出たら、とにかくその銘柄を手放すことが重要である。

 これは業績が思わしくない場合にも当てはまる。ネガティブなニュース、株価の足を引っ張る悪材料には敏感になったほうがいい。というのは、株の上下動は非対称だからだ。

 相場格言に、「上げ100日、下げ3日」というのがある。上げるときはじりじりと時間をかけて上がるが、下がるときはあっという間、ものすごい速さで下がる。株価とはそのようなものだ。まるで実際に引力の影響を受けているのではないかと思うほどである。

株価が低迷しているときは、その理由を探ろう

 だから下げに対処すべく「売ること」に意識を集中したほうがいい。最低でも四半期の業績チェックは全銘柄について怠らずにおこなうとして、プラスアルファで労力をかけるとすれば、まず株価が低迷している銘柄についてその理由を探るようにしよう。反対に順調に値上がりしている銘柄については放っておいてよい。

 値下がりしている理由が判明したならば次は継続保有するか売却するかの判断をしよう。改善する見込みがあれば持っていればいいが、改善が望み薄と判断される場合は、即座に売却しよう。

 いくら調べても値下がりしている理由が見つからないこともある。その場合はどうするか。迷ったら売却したほうがいい。

 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉がある。なんだかよくわからないけれど値上がりするということはある。しかし、パフォーマンスが悪い株には必ず不振の理由があるものだ。あなたにその理由が見えないだけで、株価は正直であると思ったほうがいい。

「売り」に意識を集中しよう

 これまでのアドバイスをまとめてみよう。どんな銘柄を買うか悩むより、買ったあとのアフターケア、フォローアップを徹底すべし。値上がりしている銘柄より値下がりしている銘柄を気にかけるべし。悪材料が出たらすぐに売る。迷ったら売る。株価が下がるスピードは速い。上げより下げに対応すべく売りに意識を集中すべし。

 ここで述べたことは結局のところ、「ダウンサイド・リスク」に敏感になれ、ということである。投資理論の「リスク」は上げでも下げでも株価が変動することだ。しかし、実際の株式投資では、値上がりは放っておいてよい。本当のリスクは、至極当然だが「ダウンサイド・リスク」のみである。

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広木隆

広木隆

マネックス証券チーフ・ストラテジスト

1963年、東京都生まれ。上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問、外資系運用会社などの運用機関でファンドマネジャーを歴任。2010年から現職。経験と知識に基づいた金融市場の分析を行う。著書に「勝てるROE投資術」(日本経済新聞出版社)など。マネックス証券ウェブサイトで、最新ストラテジーレポートが閲覧できる。http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G903/strategy/index.htm

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