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下請け中小企業33社が成功させた「京都試作ネット」とは?

中村智彦 / 神戸国際大学教授

 1982年、京都の中小企業若手経営者の会が設立された。前回紹介した「京都機関金属中小企業青年連絡会」(機青連)である。

 80年代前半、円高が進み、国内の景況感は悪化局面を迎えていた。多くの経営者は、輸出主導型で急成長してきた日本の製造業の大きな潮目を感じていたはずである。

大企業の怒りを買った「下請け」若手経営者の発言

 機青連の設立の経緯について、伝説的に語り継がれている話がある。設立間もなく、地元テレビ局の特別番組に創設メンバーの中小企業経営者が出演した。若手経営者がいかに不況を克服するかという趣旨の番組だったが、放送後、大きな物議を醸すことになった。

 当時を知る関係者に聞くと、「放送の翌日、取引先の中から、けしからんという電話をかけてくるところもあ…

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中村智彦

中村智彦

神戸国際大学教授

1964年、東京都生まれ。88年、上智大学文学部卒業。96年、名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了。外資系航空会社、シンクタンクで勤務。大阪府立産業開発研究所、日本福祉大学経済学部助教授を経て、現職。専門は中小企業論と地域経済論。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興のプロジェクトに数多く参画し、日テレ系「世界一受けたい授業」の工場見学担当も務める。