社会・カルチャー街の文化漂う 秘蔵の宿

本格スパ・トリートメントと食 バリタワー大阪天王寺

稲葉なおと / 紀行作家、一級建築士

素泊まり4400円(税込み、以下同)〜

 もう何度目だろう。彼女の手のひらから伝わってくる感触に、深く息を吸いこみ、二の腕には鳥肌がたっていた。彼女の体温でオイルが気化され、花の香りが漂う部屋。始まってまだ数分しかたっていないのに、これほど何度も心地よさを実感するとは……。

 インテリアも、スタッフのユニホームも、館内に流れる音楽も、バリ風のホテルだ。

 バリのホテルといえば、その魅力のひとつがスパのトリートメント。なので、試しにとオーダーしたところ、アジアやヨーロッパの一流ホテルで受けるサービスに匹敵するほどの内容に、内心驚かされていた。

 アロマボディートリートメント・60分・9180円に、ヘッドトリートメント・10分・1290円。宿泊客には20%割引がある。

フロント前でワイン、プチデザートを「ご自由に」

 公式ホームページの情報から、無料と割引メニューが至れり尽くせりのホテルという印象は訪れる前から抱いていた。だが実際にチェックインしてみると、想像していた以上の豊富なサービスメニューに驚かされた。

 フロントの前にはワインサーバーがあり、自由に飲める。ゼリーや杏仁豆腐といったプチデザートもご自由に。

 部屋にお持ちくださいというコーナーには、入浴剤だけで数十種類、他にも洗顔剤や保湿材、靴磨き等、ゲストが喜びそうな小物がずらりと並んでいる。ボトルのシャンプーやソープ、コンディショナーもお好みで部屋まで。

ルームサービスの注文は24時間テレビ画面で

 客室に用意されたアメニティー類もバラエティーに富んでいる。コーヒーはもちろん、紅茶だけで10種類以上。美顔用のクリームや機器もある。さらに、ルームサービスのメニューが驚くほど多彩だ。飲み物(410円〜)は、160種類。フードも63種類。すべてが24時間、テレビ画面からオーダーできるシステムだ。

 フロントの対応は、どことなく初々しく、最上階の眺望レストランも、メニューは写真付きのデザインがファミレスを思わせる。チェックイン当初は、便利さとおおらかなサービスを楽しむカジュアルなホテル、という印象だった。

 ところが、各施設を実際に利用するうちに、要所要所にプロの技が見えてきた。ディナーの料理にしても、料金は手ごろだが内容はバラエティーに富んだ上に、中身はなかなか本格的だ。

 冷製肉前菜盛り合わせ1706円に加えて、150グラムの牛フィレ肉にフォアグラのせ3780円をオーダーする。

 前菜のボリュームに納得し、フォアグラの厚みと肉のおいしさにうなずきつつ、1940円・90分ラストオーダーでワイン飲み放題というのもうれしい企画だった。

朝食メニューにチーズフォンデュも

 そして、朝食。

 どこのホテルでも見かけるような定番の和洋食の品ぞろえに加えて、好みで自分なりのサンドを楽しめるピタパンや、地元産の新鮮なブロッコリーやヤングコーンをからめて食べるチーズフォンデュも用意。ぶどうやメロン等、季節のフルーツを使ったスイーツもある。

 飲み物も、牛乳、ジュースに加えて、ほどよい甘みのアイスミルクティーやオリジナルミックスジュース等、何杯もお替わりしたくなる充実ぶりだった。

 最寄りの天王寺駅までは約200メートルという立地に建つ。

 天王寺といえば、日本一の超高層ビル・あべのハルカスで注目のエリア。JRや地下鉄がいくつも乗り入れるターミナル駅は、観光にもビジネスにもなかなか便利だ。

施設充実のバリ風エンターテインメント

 便利でカジュアルさを前面に出し、レストラン、エステ・スパだけでなく、ウエディング会場やチャペル、カラオケにダーツバーなど、施設充実のバリ風エンターテインメントホテル。

 そして滞在して実際に食や癒やしのサービスを体験してみると、高額ホテルに匹敵するものが披露されたりする。

 そのユニークさを、そっとひとに教えたくなるホテルだった。

<宿データ>

バリタワー大阪天王寺/大阪市天王寺区悲田院町8の1/電話:0120・158・759/8800円〜(素泊まり、1泊1人、税込み)、4400円〜(素泊まり、1室2人利用時、税込み)、10070円〜(朝食付き、1泊1人、税込み)/http://www.balitower.jp

<「街の文化漂う 秘蔵の宿」は原則、毎週木曜日に掲載します>

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稲葉なおと

稲葉なおと

紀行作家、一級建築士

1959年、東京都生まれ。東京工業大学建築学科卒。400軒以上の名建築の宿を宿泊・取材。旅行記、小説、児童文学、写真集を発表している。現在も長編小説を雑誌「ダンスビュウ」に連載中。第10回JTB紀行文学大賞奨励賞受賞。主な著書に「匠たちの名旅館」など。近著に「モデルルームをじっくり見る人ほど『欠陥マンション』をつかみやすい」(小学館)。公式サイトでお勧めホテル、名建築の写真を多数公開中 http://www.naotoinaba.com (顔写真の撮影は寺崎誠三さん)

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