都市の風景=東京・銀座で2015年11月27日、関口純撮影
都市の風景=東京・銀座で2015年11月27日、関口純撮影

マネー・金融30歳ではじめる資産形成

「経済の仕組み」と「お金の流れ」に関心を持とう

横山邦男 / 前三井住友アセットマネジメント社長

 私は社会人としての人生のうち30年近く、銀行に身を置いていましたが、今後の世の中を考えると、どうやら預貯金だけでは資産形成ができなくなりそうだということを近年強く感じています。

 そこで、資産形成するためには資産の運用、つまり「投資」が必要だという思いに至り、本コラムを執筆しました。

 ところで皆さんは、「投資」という言葉を聞いて、どのような印象を持ちますか?

 最近でこそ、日本の株価の上昇などを受け、にわかに関心が高まってきていますが、「なんだかうさんくさい」「損をするのではないか」「楽をして稼ぐものだ」といったイメージを持たれる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 確かに、「投資」は「預金」と違い値動きが伴うため、多くの利益を生む場合がある一方で、損をしてしまう場合もあり、利益、損失のいずれにしても、自分の力では解決できないところに、怖い、不安、うさんくさいといったイメージが生まれてしまうのかもしれません。

 しかし、私は、このような考え方は大きな誤解であり、誤りであると考えています。

若いうちに「経済の仕組み」に関心を持つことが大切

 私は、大学卒業後の30年近くを都市銀行の行員として過ごし、現在は資産運用会社で社長を務めています。バブル景気から、失われた20年、リーマン・ショックや東日本大震災など、歴史のターニングポイントが国民のお金や資産にどのような影響を与えるかを、常に金融業界の最前線で体感してきました。

 その経験を踏まえて確信していることは、できるだけ若いうちに「経済の仕組み」や「お金の流れ」に関心を持ち、「資産運用」のはじめの一歩を踏み出すことが大切だということです。

 わが国では、少子高齢化がさらに進んで行く中で発生するであろう年金問題、預金金利が低い中でのインフレ、つまり物価の上昇懸念など、数々の問題があるため、自分の未来の夢のためには、自分自身で資産を形成していくことが必要となってきています。

 したがって、特に若者にとっては、今後しっかりと「投資」に向き合うことが大切になると思われます。従来あった、「お金は預金しておけばよい」という考え方は、これからは通用しなくなり、“お金に働いてもらう”、つまり資産を運用するという感覚を早くから身に着けてもらいたいのです。

「投資感覚」を身に着ければこれだけのメリットが

 若いうちから「投資」の感覚を身に着けることで、金銭的に豊かになること以外に、(1)世の中の流れや動きに関心が高まり、社会・企業を見る目が養われる(2)新聞の内容が理解できるようになり、会話に経済等のネタを盛り込めるようになる(3)お客様や上司などとのコミュニケーションがスムーズに取れるようになるーーという利点があります。

 また、(4)政治、医療、テクノロジーなど、今まで自分とは関わりのなかった分野への関心が高まり、話の引き出しの多いビジネスパーソンになれる(5)さまざまな業界との接点を発見し、新たなビジネスチャンスを生むかもしれない、新たな道が発見できるかもしれない(6)資産運用によって増えたお金を自己研さん、趣味、旅行などに使い、自分を成長させることができるようになるーーなど、さまざまなメリットがあるのです。

 一方、私たちが「投資」したお金は、企業の成長・発展、ひいては経済成長などにもつながり、社会や他の人の役に立つ場合もあるのです。

 本コラムでは、私の金融業界における長い経験を踏まえ、「投資」と賢く付き合うための知識を解説します。

 「投資」で資産形成することは、当たり前という時代がもう既に来ていると思います。本コラムを読んでくださった皆さんがその先駆けとなることの手助けができれば、筆者としては望外の喜びです。

    ◇    ◇

 横山邦男さんは、三井住友銀行や日本郵政といった日本を代表する金融機関の役員を長年務めた金融のプロです。その横山さんは、若いビジネスパーソンに「できるだけ若いうちに、預貯金だけでなく、『投資』に目を向けてほしい」と呼びかけています。

 この連載コラムでは、横山さんが若い世代向けに、「お金の生かし方」とそれに必要な知識をできるだけわかりやすく解説します。週1回、毎週月曜日の連載です。次回は1月11日掲載です。

※この連載の用語は、毎日新聞の用字基準に基づいて表記しています。

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横山邦男

横山邦男

前三井住友アセットマネジメント社長

東京大学卒、1981年に住友銀行(現三井住友銀行)入行。日本郵政専務執行役、三井住友銀行常務執行役員を歴任し、2014年4月から三井住友アセットマネジメント社長、16年6月から日本郵便社長。住友銀行とさくら銀行の合併によるメガバンク誕生の際に腕を振るった金融界のビッグネーム。著書に「今こそはじめる資産形成」(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

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