社会・カルチャー青春小説の系譜

朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」の揺らぎと輝き

鶴谷真 / 毎日新聞学芸部記者

 田舎、といっても、そこそこの地方都市に立地すると思われる県立高校を舞台に、2年生たちの晩秋の日常を描くのが朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」(集英社)だ。

 野球部のユーレイ部員、宏樹▽バレーボール部の補欠、風助▽ブラスバンド部の部長、亜矢▽映画部の涼也▽ソフトボール部の実果▽再び宏樹。物語の視点は、この順に移っていく。暴力ざたやいじめ、激しい恋愛といった「事件」は起きない。部活やクラスでの「さざ波」を見つめ、それを受け止めようとする様が浮き彫りにされる。

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鶴谷真

鶴谷真

毎日新聞学芸部記者

1974年、神戸市出身。2002年毎日新聞社に入社し、岡山支局、京都支局を経て08年に大阪本社学芸部。13年秋から東京本社学芸部。文学を担当している。