社会・カルチャーベストセラーを歩く

生きる意味を問いかける白石一文「光のない海」

重里徹也 / 文芸評論家、聖徳大教授

 白石一文の「光のない海」(集英社)は友人に薦めたくなる長編小説だ。このサイトでは、大人の読者に読んでほしい本を選んでいるのだが、今回も自信を持って取り上げられる一冊に恵まれてうれしい。

主人公は50歳社長。うつになったり性的不能に陥ったり

 主人公は50歳。建材卸会社の社長をしている。社長になって10年。500人以上の従業員を抱える中堅企業のトップとして、緊張の解けない日々を過ごしている。

 それだけではない。仕事以上に個人生活でも、ダメージを受けたり、苦労したりすることが多い半生を送って…

この記事は有料記事です。

残り1429文字(全文1674文字)

重里徹也

重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。

イチ押しコラム

職場のトラブルどう防ぐ?
 

「定時帰りは無理!?」26歳女性“固定残業代”への疑問

 A子さん(26)は、3カ月前に今の会社に転職しました。職種は営業アシスタントです。転職以降、定時に上がれる日がほとんどありません…

知ってトクするモバイルライフ
プライバシー重視の方針を打ち出すアップル。開発者向け会議でもプライバシーに関してはたびたび言及される(写真は2018年6月のアップルの年次開発会議<WWDC>)

アップルが「GAFA」一括りにされるのを嫌がる理由

 総務省は、電気通信事業法の「通信の秘密」の規定を、巨大なプラットフォームを持つ海外のIT企業にも域外適用する方向で検討を進めてい…

ニッポン金融ウラの裏
 

キャッシュレス化20%「日本は遅れてる」はホント?

 「デジタルマネー」が引き続きホットな話題となっている。政府が推進するキャッシュレス化社会の流れに沿った議論だ。だが、さまざまな官…

藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」
ユジノサハリンスク市街でのイベントにいた着ぐるみ。ちょっと不気味なところがロシア的?(写真は筆者撮影)

サハリン「ユジノサハリンスク」旧樺太の地の今は

 ◇ロシア・ユジノサハリンスク編(1) ロシア・サハリン州の、州都ユジノサハリンスク(日本語にすれば「南サハリン市」)。成田空港か…

メディア万華鏡
 

「準強制性交」の罪名に感じる司法の“男性バイアス”

 「薬飲ませ女性暴行の疑い 昭和大の医師2人、容疑否認」「田畑毅議員が辞職願 衆院に提出 女性とトラブル」「新井浩文被告 500万…