東京・勝鬨橋で関口純撮影
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マネー・金融30歳ではじめる資産形成

NISAと確定拠出年金で非課税措置の積極活用を

横山邦男 / 前三井住友アセットマネジメント社長

NISAと確定拠出年金(1)

 個人の投資に対する国からの後押しといえる、制度面の改革も着々と進んでいます。

 最大のチャンスは、2014年1月からスタートしたNISAです。NISAとは「少額投資非課税制度」といって、年間100万円(16年から年間120万円)を上限として株式や株式投資信託の運用に充て、それによって得た値上がり益、配当金、分配金に対する課税を非課税にするという制度です。ちなみに現在、株式や株式投資信託のこれら収益に対する課税は、申告分離課税で20・315%が適用されます。

NISAの特徴を説明する銀行員=2013年10月、宇都宮裕一撮影
NISAの特徴を説明する銀行員=2013年10月、宇都宮裕一撮影

 利益の2割以上を税金で持っていかれるわけですが、NISAを使えば、その分が非課税になります。つまり、実質的に2割も収益を改善できるのです。

 NISAの非課税期間は最長5年間です。また現時点において、口座開設可能期間は23年までですから、例えば15年のNISA口座で投資した場合は、19年12月末までに生じた収益が非課税扱いになります。そして、19年12月末で非課税期間が満了した後は、20年のNISA口座に、120万円を限度額として乗り換えができます。そして、24年までは非課税扱いで投資できるのです。

 現状、NISAは23年までの時限的な措置となっています。つまり、23年中がNISA口座を開設できる期限であり、それ以降はNISA口座を開設できなくなります。まだ多少の猶予はありますが、投資を考えるなら開設しない手はありません。

 また、NISAについてはこれから、さまざまな制度改正が予定されています。16年からは、それ以前は年間100万円だった投資限度額が120万円に引き上げられました。どのように制度が変わるとしても、投資家にとってより有利な条件に変わっていく方向と考えて、恐らく間違いないでしょう。

ジュニアNISA制度もスタート

 16年にはジュニアNISAも登場しました。約2200万人の未成年者がNISA口座開設の対象となることから、NISA・ジュニアNISAの制度は日本の居住者全員が対象になることになります。

 ジュニアNISAとは未成年者向けのNISA口座で、3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日まで、原則として払い出しができません。このような制約はあるものの、年間で最大80万円までが非課税枠として認められます。つまり夫婦に子供2人の家庭であれば、全員で年間400万円までの非課税枠が認められます。

2015年12月6日付毎日新聞東京朝刊
2015年12月6日付毎日新聞東京朝刊

 現時点では23年までが口座開設可能期間で、かつ非課税期間は5年とされているNISAですが、今後は制度の恒久化が大きな焦点になるでしょう。非課税期間の恒久化、口座開設可能期間の恒久化が実現すれば、NISAの使い勝手は格段に向上します。

 日本が債務残高など財政面で厳しい状況にあるのは事実です。その中で、所得控除は年々縮小され、消費税をはじめとして税率は上昇傾向にあります。税負担が重くなっていく中、NISAやジュニアNISAのような非課税措置は積極的に活用すべきでしょう。

 また、これからは確定拠出年金(DC)も制度が大幅に見直され、これまで加入できなかった公務員や専業主婦の方も、確定拠出年金で自分の老後資金を積み立てられるようになります。確定拠出年金は、60歳になるまで現金化ができないので、NISAに比べて流動性で劣ります。しかし、税制優遇メリットはNISAよりもはるかに高いという特徴を持っています。

 このように、NISAや確定拠出年金は誰もが利用できる、数少ない非課税措置ですから、少しでも有利に資産形成をするためには、これらを積極的に活用すべきでしょう。その点で、今は投資に適した環境が、徐々にではありますが、整いつつあるのです。

    ◇    ◇

 三井住友アセットマネジメント社長の横山邦男さんが、若い世代向けに、「資産形成」についてわかりやすく解説します。今回から「NISAと確定拠出年金」シリーズです。

 <「30歳ではじめる資産形成」は毎週月曜日に掲載します。次回は2月15日です>

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横山邦男

横山邦男

前三井住友アセットマネジメント社長

東京大学卒、1981年に住友銀行(現三井住友銀行)入行。日本郵政専務執行役、三井住友銀行常務執行役員を歴任し、2014年4月から三井住友アセットマネジメント社長、16年6月から日本郵便社長。住友銀行とさくら銀行の合併によるメガバンク誕生の際に腕を振るった金融界のビッグネーム。著書に「今こそはじめる資産形成」(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

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