「名物 天城軍鶏とりまぶし御膳」(2890円税別、以下同)はランチ、ディナーとも終日提供
「名物 天城軍鶏とりまぶし御膳」(2890円税別、以下同)はランチ、ディナーとも終日提供

くらしこの酒場この一品

静岡・熱海の新名物「とりまぶし」は3度おいしい

印束義則 / ライター

静岡・熱海「熱海 多賀屋別邸」

 静岡県熱海市といえば、保養地や温泉地として古くから親しまれる街。海に面しているだけに、この街で食を楽しもうとすると、まずは新鮮な地の魚が思い浮かぶ。そして思いきり魚を堪能したら、翌日は何か別のものが食べたくなってしまうもの。また、地元の人も魚は飽きるほど食べ尽くしており、何か変わったものを食べたいという欲求もある。

 そんなニーズに応えて生み出されたのが、本格炭火鳥料理専門店「熱海 多賀屋別邸」(静岡県熱海市上多賀、JR伊豆多賀駅から徒歩3分)の「名物 天城軍鶏(シャモ)とりまぶし御膳」(2890円税別、以下同)。流通量が極端に少なく、地元の人もそうそう口にしたことがないという希少な天城軍鶏(シャモ)を用いた鶏料理で、その名のとおり、うなぎのひつまぶしの要領で食べる“味変”の一品だ。

店舗の前には海が広がり、夏はここから花火大会も楽しめる
店舗の前には海が広がり、夏はここから花火大会も楽しめる

3〜4度に分けて“味変”を楽しむのが流儀

 このメニューは1日を通してランチ、ディナーで提供される。夜は各種つまみもメニューに加わり、昼は食事利用で、さらに夜は飲酒利用でも楽しめる使い勝手のよい店だ。

 「名物 天城軍鶏とりまぶし御膳」に用いるシャモは、朝引きした鮮度抜群のもの。使用する部位は、ムネ肉、モモ肉(付け根の部分)、セセリ、皮の4種。部位ごとに味や食感の違いを生かすため、切り方や調理法もひと工夫する。

 低温で蒸し上げて高温の備長炭で焼き上げる部位もあれば、下焼きをして余分な脂を落として焼き上げる部位もある。また、大ぶりに切って焼き上げた後に切り分ける部位も。タレで味つけし、ご飯に鶏そぼろをちらした上に盛りつける。

生わさびをまぶす、半熟親子丼、鶏白湯茶漬けの3度の“味変”で楽しむ
生わさびをまぶす、半熟親子丼、鶏白湯茶漬けの3度の“味変”で楽しむ

 ほどよい加減で茶わんに取り分け、1杯目は薬味のわさびをのせて食べる。わさびは地元の農家から毎朝仕入れる取れたての生わさびで、お客さんに自分ですりおろしてもらい、お好みの量を加える。おろしたてのわさびのツンと抜ける辛みが、大いに食欲をそそる。

 2杯目は、三つ葉とともに濃厚な温泉卵を加えて混ぜ、半熟親子丼に仕上げて食べる。卓上のゆず七味をかければ、また違った味わいが楽しめる。

 そして、3杯目は刻みノリやわさびをのせ、濃厚な鶏白湯(スープ)をかけてお茶づけにする。鶏白湯は72時間かけて作ったもので、コラーゲンも豊富。3杯で食べきれなければ、ここで初めて何も加えずに食べ、3〜4度に分けて“味変”を楽しむのが流儀である。

魅力のつまみで酔って「とりまぶし」で締める

 軽くアルコールをたしなみながら、とりまぶしを食べてもいいし、各種つまみで一杯楽しんだ締めの食事に、とりまぶしを味わうのもいい。

「北条鶏 ももゴロ焼き」(1280円)。5月中旬から「天城軍鶏 ももゴロ焼き」(1680円)もメニューに加わる
「北条鶏 ももゴロ焼き」(1280円)。5月中旬から「天城軍鶏 ももゴロ焼き」(1680円)もメニューに加わる

 つまみは「ももゴロ焼き」が名物で、自社専用飼育した銘柄鶏使用の「北条鶏 ももゴロ焼き」(1280円)と、5月中旬から提供を始める「天城軍鶏 ももゴロ焼き」(1680円)がある。さらには、銘酒「獺祭(だっさい)」の酒粕(さけかす)とクリームチーズ、木綿豆腐で作った「獺祭クリームチーズ」(1000円)もおすすめだ。

「獺祭クリームチーズ」(1000円)は「獺祭」の酒粕、クリームチーズ、木綿豆腐で作り、ハチミツ、レーズンを加えて提供
「獺祭クリームチーズ」(1000円)は「獺祭」の酒粕、クリームチーズ、木綿豆腐で作り、ハチミツ、レーズンを加えて提供

 アルコールも、「静岡煎茶ハイ」「静岡玉露茶ハイ」「静岡玄米茶ハイ」(各500円)など、静岡色を打ち出したものもそろえる。熱海の新名物として注目を集める「名物 天城軍鶏とりまぶし御膳」から、いま目が離せない。

●熱海 多賀屋別邸:静岡県熱海市上多賀10の1/電話:0557・52・6465/営業時間:ランチ11時半〜14時(ラストオーダー14時)、ディナー17時〜23時(ラストオーダー22時半)/定休日:火曜日

店主の高取宗茂さん。炎を上げて豪快に焼き上げる演出性も売り物
店主の高取宗茂さん。炎を上げて豪快に焼き上げる演出性も売り物

 <「この酒場この一品」は隔週木曜日更新です。次回は5月19日の予定です>

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印束義則

印束義則

ライター

1966年福岡県生まれ。飲食店専門誌を多数発行する旭屋出版で「すしの雑誌」など専門誌、ムック編集に携わり、独立後はライターとして幅広く活躍。これまでに取材した飲食店は2000店以上、ローカル立地の繁盛店などニッチな飲食店情報に強い。「月刊近代食堂」(旭屋出版)に「ローカル実力店の強さの秘訣」「繁盛店を作るメニュー表」、「日本外食新聞」(外食産業新聞社)に「二等立地…地方立地…ありえない立地 印束義則の繁盛店実況中継」を連載中。

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