無農薬有機栽培で育った茶葉と杵塚歩さん(左)=小高朋子撮影
無農薬有機栽培で育った茶葉と杵塚歩さん(左)=小高朋子撮影

 透き通る淡い緑色のお茶が、日差しを浴びて湯飲みの中で揺れる。濃厚な香りに、柔らかで豊かな甘みとうまみが口に広がり、疲れた体に染み渡る。春に芽吹いた新芽から作られたお茶「初摘みみどり」(100グラム1944円、税込み)は、地中から吸い上げた生命力にあふれている。

虫や鳥が住む茶畑で育つ「初摘みみどり」

 ウグイスの声が響き渡る森の中に、その茶畑はあった。有限会社「人と農・自然をつなぐ会」は、静岡県藤枝市で1975年に創業して以来、山並みが連なる同市瀬戸谷(せとや)で無農薬・有機栽培にこだわったお茶作りをしている。「農薬を使わない安全なお茶を飲みたい」という消費者の声がきっかけだ。当時は農薬、除草剤、化学肥料の時代だったが、代表の杵塚(きねづか)敏明さん(72)は、自然と調和した安心で安全な農業を目指そうと決意した。

 同社の茶畑には、てんとう虫やヘビ、カマキリなどが生息し、ときには鳥が巣をつくって子育てを始めること…

この記事は有料記事です。

残り1732文字(全文2142文字)

小高朋子

小高朋子

旅食ライター・カメラマン

1982年、神奈川県生まれ。アパレル業界、映像製作会社を経て、フリーランスに。持続可能なモノづくりの可能性を求めて各地を巡り、地域の食文化、工芸品、産業などを取材し、写真、映像も用いてその魅力を紹介している。現在、農業者向けのビジネススクール(オンラインアグリビジネススクール)にかかわり、各地の農業現場の取材を担当。旅と、おいしい食べものと日本酒が何よりも好き。