社会・カルチャー戦国武将の危機管理

関所を設置して情報漏えいを防いだ今川義元

小和田哲男 / 静岡大学名誉教授

 駿河・遠江2カ国を支配した段階の今川氏親が制定した「今川仮名目録」は、東国初の分国法として知られているが、その第30条に他国との通婚禁止の規定がある。今川家臣は氏親の許可なく、他国から嫁を迎えたり、婿に取ったり、娘を遣わしたりしてはならないという内容である。

 この氏親の制定した「今川仮名目録」を子の義元がさらに追加したものが「仮名目録追加」で、その第17条にさらにきびしい規定が盛りこまれていた。他国から音信があった場合、義元の承諾なく勝手に返信してはならないというのである。これは明らかに義元の危機管理といってよい。

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小和田哲男

小和田哲男

静岡大学名誉教授

戦国大名・今川氏のお膝元で、徳川家康の隠居先でもあった静岡市で1944年に生まれる。72年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は日本中世史。戦国時代史研究の第一人者として知られ、歴史番組でおなじみの顔。趣味は「城めぐり」で、公益財団法人「日本城郭協会」の理事長も務める。主な著書に「戦国の群像」(2009年、学研新書)、「黒田官兵衛 智謀の戦国軍師」(13年、平凡社新書)。公式サイト https://office-owada.com