新型「セレナ」に乗り込む今沢真・経済プレミア編集長=2016年9月20日、村田由紀子撮影
新型「セレナ」に乗り込む今沢真・経済プレミア編集長=2016年9月20日、村田由紀子撮影

IT・テクノロジー自動運転の最新事情

291万円日産新型セレナで「自動運転やってみた!」

編集部

試乗体験記(1)

 「自動運転」という言葉がよく聞かれるようになった。「同一車線、自動運転技術をミニバンに世界初搭載」という宣伝文句で日産自動車が新型「セレナ」を8月に発売した。最も安い価格は291万6000円(本体価格・税込み)だという。自動運転がいよいよ身近になったのか。試乗し、その実力を体感してみた。【今沢真・経済プレミア編集長】

自動運転車は手放しでいいの?

 歌手の矢沢永吉さんがそーっとハンドルから両手を離す。「にやっ」と笑って車はそのまま走行−−。ちょっと前にそんなテレビCMを見た。本来、公道で手放し運転は許されない。もちろんCM制作上の演出だろうが、「自動運転車は手放し運転ができるの?」という疑問を抱えつつ、日産自動車にセレナの試乗取材を依頼した。

「自動運転」の操作方法について説明を受ける今沢編集長
「自動運転」の操作方法について説明を受ける今沢編集長

 日産はいま、セレナを大々的に売り出している。自宅にも「新型セレナ誕生」と書かれた販売会社のチラシが入った。まずは、そのチラシをよく読んでみた。

 「高速道路や自動車専用道路で使用してください」と書かれ、少し大きく「同一車線自動運転技術」と書かれている。高速道路で、同じ車線だけの自動運転なんだな……と思う。

 ところが、「ドライバーの運転操作を支援するためのシステムであり、『自動運転システム』ではありません」とも書かれている。「自動運転で売り出しているのに、自動運転じゃない? なんのこっちゃ」と思う。

 さらに、小さな文字で「安全運転をおこなう責任はドライバーにあります」「わき見運転やぼんやり運転などの前方不注意による危険を回避するものではありません」。自動運転中でも、事故が起きたら責任は運転者だと言いたいんだなと理解する。

青色の新型セレナに試乗

 ともかく乗ってみないとわからない−−ということで9月20日、横浜市西区の日産自動車本社を訪れた。用意してもらった青色の新型セレナを前に、広報担当者と技術担当者に「自動運転」の操作方法を15分ほど説明してもらった。

 この日は台風が接近して、あいにく雨が降ったりやんだり。「雨の時は自動運転は使えません」と言われる。15分ほど説明を受けた後、編集部のカメラ・ムービー担当と2人で乗り込み、道に出た。

 一般道を横浜から東京方面に向かって走る。セレナの運転に慣れたころ、「汐入」というインターチェンジから首都高速道路に入った。

 最初に、ハンドルについた「自動運転機能ON」のボタン押す。高速道路で実際に自動運転に移る時に、さらにその近くの「セット」ボタンを親指で押す。安全上の観点から、自動運転に入るには2段階の操作が必要な設定になっているのだ。

 2車線のうち、左側の車線を走り、間もなく、「セット」ボタンを親指で押し、自動運転操作を開始した。

自動運転を開始する「セット」ボタンを押す今沢編集長
自動運転を開始する「セット」ボタンを押す今沢編集長

「自動運転開始」で緑色になるモニター表示

 これでアクセル、ブレーキ、ハンドルの操作が自動で行われるはず。正面のモニターに、ハンドルのアイコンや左右両側の車線、前の車との車間がグレーで表示されているが、自動運転に切り替わると、色が「緑」に変わると説明を受けていた。

 モニターに前の車が表示されていて、セレナとの間に示された3本の線が緑色になっていた。車のアイコンや速度表示も緑色になっていた。どうやら自動運転操作が始まったようだ。ただ、ハンドルのアイコンと左右の車線は緑色にならない。手を少し離してみてもハンドルが自動操作されている感じがしない。雨なので作動しないのか。

 羽田空港方面に向かう道路は渋滞気味だ。20キロから30キロ程度のノロノロ運転が続く。自動運転が始まったセレナは、前の車と一定の車間距離を保って走り続けているはずだ。アクセルは踏んでいない。

 間もなく渋滞で、前の車が停止する。自動でブレーキは働くのか。止まった前の車に近づくが、ブレーキはかからない。「えっ」と思い、とっさにブレーキを踏んだ。おかしい、自動ブレーキ機能も作動していないのだろうか。

 前の車がすぐに動きだす。アクセルを踏んでいないのに、セレナもゆっくり動いて前の車の追従を始める。これが自動運転の一つ、「追従機能」だ。そして前の車が先ほどよりゆっくり停車。今度はブレーキを踏まず、我慢してみる。すると、自動ブレーキが作動して止まった。

 こうした停止、発進を何度か繰り返しているうちに、ブレーキが自動的に作動するタイミングがなんとなくわかってくる。この間、足はブレーキペダルの上に。自動運転でないときよりも、神経を使い、足首も疲れた。

 停車が3秒以上が続くと、自動運転はいったん「ホールド」になり、「セット」ボタンを再度押さないと操作は再開しない。「セット」ボタンは親指で簡単に押せるので、この操作はすぐに慣れる。

「追従機能」で走行中の新型「セレナ」
「追従機能」で走行中の新型「セレナ」

雨天のため、ハンドル自動操作は作動せず

 自分でブレーキを踏むより、自動ブレーキは少し遅れて作動する感じがする。減速はスムーズだ。慣れるにつれ、ブレーキペダルの上に置いた足の力を緩められるようになった。

 モニターの左右両側の車線表示はグレーのままで、いつまでたっても緑色にならない。雨はいったん降りやんでいたが、路面はぬれていた。左右の車線をセンサーで感知して車線の中央を走る自動ハンドル機能は、結局この日は作動せず、体験できなかった。

 渋滞が続く首都高速道路を「羽田インター」でいったん降りた。そして、一般道をUターンし、再び同じ高速道路に入り、横浜に戻る。今度は渋滞はない。速度は70キロ程度。再び、自動運転の「セット」ボタンを押す。この帰路の自動運転については、次回、詳しく報告する。(つづく)

 <次回「手放し運転は絶対ダメだが渋滞イライラは解消かも」>

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長く経済分野を取材してきた今沢真・毎日新聞論説委員を編集長にベテラン・若手編集者が経済・社会の最新情勢を追います。
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