社会・カルチャー戦国武将の危機管理

家臣の争いを「鉄火の神裁」で収めた武田信玄の深謀

小和田哲男 / 静岡大学名誉教授

 現在、鉄火といえば、すぐ思い浮かぶのは鉄火丼とか鉄火巻きではなかろうか。マグロの赤身の色が、熱して真赤になった鉄と同じだからである。

 しかし、戦国時代から近世初頭にかけては、鉄火は、裁判の方法の一つであった。罪の有無を試すため、神前で熱した鉄を握らせ、数歩先の神棚まで運ばせるという裁判のやり方だ。悪事を働いていれば、その者が神罰によって火傷をし、鉄を取り落とすことになり、有罪とされるというものである。

 この鉄火が武田信玄のもとで行われていたことが「甲陽軍鑑」品(ほん)第四十七にみえる。この品第四十七…

この記事は有料記事です。

残り946文字(全文1199文字)

小和田哲男

小和田哲男

静岡大学名誉教授

戦国大名・今川氏のお膝元で、徳川家康の隠居先でもあった静岡市で1944年に生まれる。72年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は日本中世史。戦国時代史研究の第一人者として知られ、歴史番組でおなじみの顔。趣味は「城めぐり」で、公益財団法人「日本城郭協会」の理事長も務める。主な著書に「戦国の群像」(2009年、学研新書)、「黒田官兵衛 智謀の戦国軍師」(13年、平凡社新書)。公式サイト https://office-owada.com

イチ押しコラム

職場のトラブルどう防ぐ?
 

働き方改革のしわ寄せ?「収入半減」パート女性の嘆き

 A実さん(55)は、チェーン展開する自宅近くのクリーニング店で受付のパートとして働いています。昨年「働き方改革」への対応で店舗に…

メディア万華鏡
婚約が内定、記者会見される秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さん=東京都港区の赤坂東邸で2017年9月3日、代表撮影

「開かれた皇室」が生んだ?小室さんスキャンダル報道

 ガソリン、投下しちゃった。秋篠宮家の長女眞子さま(27)との婚約が延期となっている米国留学中の小室圭さん(27)が1月22日、母…

知ってトクするモバイルライフ
第2弾の100億円還元キャンペーンを発表するペイペイの中山一郎社長=東京都千代田区で、今村茜撮影

ペイペイ再び「100億円キャンペーン」は小粒に還元

 ソフトバンクとヤフーが合弁で設立したQRコード決済事業者のペイペイが、総額100億円キャンペーンの第2弾を2月12日から始める。…

ニッポン金融ウラの裏
 

変革の時代に「動かない」言い訳を探す銀行の勘違い

 銀行が変革の時代を迎えていることはいまさら言うまでもない。しかし、そのような言葉がマスコミをにぎわしている割には、銀行業界で実際…

藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」
荒野の中の一軒宿でもてなしてくれた夫婦。彼らはアフリカーナー(オランダ系白人)だった(写真は筆者撮影)

南アに囲まれた「レソト王国」入国直前まさかの撤退

 ◇南アフリカ編(6) 南アフリカに囲まれた小さな王国レソトに最も近い田舎町レディブランドまで、700キロ近くを1日で走ってきた筆…