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端末消えてもiモードは残る「ガラホ」根強い人気

石野純也 / ケータイジャーナリスト

 ドコモが、らくらくホンをのぞくiモード対応携帯電話の生産を、年内に終了すると発表した。既存の利用者向けにサービス自体は継続するが、今後、新たな端末は登場しない見込みだ。

 理由は、部材の不足やソフトウエアの開発がコスト的な理由で困難になってきたため。iモード向けのサービスから撤退する企業も相次いでいる。

シャープ製の「アクオスケータイ」
シャープ製の「アクオスケータイ」

まだ1741万のiモード契約

 グローバルで見ると、ガラケーとも呼ばれる従来型携帯電話を使う人の割合は日本より低くなっており、規模の経済が働きづらくなった。スマホに押される形で契約者も徐々に減っているため、そこに資金や人材を投入してまで、新たな端末を開発するメリットがなくなってきたのだ。

 ただ、スマートフォンの利用者は増えたとはいえ、その比率はまだ6~7割といったところ。ドコモの2016年度上期では、1741万のiモード契約者が残っており、規模は決して小さくない。電話とメールができればいいという利用者にとっては、スマホより電池の持ちがよく、コンパクトな従来型携帯電話は重宝されている。通信事業者にもこうした声は寄せられており、代替案が必要になっていた。

パナソニック初のアンドロイド携帯電話「Pスマート」
パナソニック初のアンドロイド携帯電話「Pスマート」

 こうした声を受け、生まれたのがスマホの部材やソフトを流用した携帯電話だ。形状は折りたたみ型が多く、操作メニューなどのソフトウエアも従来型携帯電話と同じになるよう作り込んでいるため、一見しただけでは違いが分からないが、こうした機種は基本ソフト(OS)にスマホと同じ、アンドロイドを採用している。ガラケーとスマホの中間という意味を込め、「ガラホ」などと呼ばれることもある。

OSはアンドロイドでLINEも使える

 ドコモも、このガラホを冬春モデルに3機種投入する。1機種がシャープの「アクオスケータイ」で、もう1機種がパナソニックの「Pスマート」だ。高齢者向けの「らくらくホン」もガラホとして開発した。OSにアンドロイドを採用しているだけでなく、これらの機種では、中央演算処理装置(CPU)などの部品も、スマホと共通化されている。

 利用者にとっては、カメラや通信機能の性能が従来型携帯電話より向上するのがメリットだ。高度な機能は不要と思われるかもしれないが、上記の3機種は、高速通信規格のLTEに対応し、その上で音声通話を行う「ボルテ(VoLTE)」も利用できる。ボルテでの音声通話は、従来よりも音質がはるかに高く、コミュニケーションがしやすくなる。

 スマホの部品やソフトを採用したことで、電話としての基本機能にも磨きがかかったのだ。また、多くの機種がLINEに対応している。これも、スマホ向けのOSを使った大きなメリットだ。

 これらの端末に合わせ、ドコモは料金プランも改定。5分まで音声通話が無料になる「カケホーダイライト」を1200円に下げ、従来型携帯電話で好評だった2段階制のデータプランも用意した。使い勝手だけでなく、料金でも従来型携帯電話と大きく変わらないようにしたというわけだ。

メニューなどは従来型携帯電話とほぼ同じだが、OSのベースはアンドロイド
メニューなどは従来型携帯電話とほぼ同じだが、OSのベースはアンドロイド

一部のiモード機能は使えない

 どうしてもスマホに移りたくない利用者の受け皿として、KDDIやソフトバンクも同様に、アンドロイドベースの携帯電話を投入している。料金プランについても、ドコモの発表に追随した。3社とも、従来型の携帯電話は、徐々にアンドロイドベースに統一していくことになりそうだ。

 使い勝手の面では従来型携帯電話をほぼ踏襲しているアンドロイドベースの携帯電話だが、細かなところでの違いもある。たとえば、ブラウザーはスマホ向けのものが搭載されるため、iモードで見ることができる携帯電話向けのサイトが一部利用できない。スマホ向けにサービスが移植されていればいいが、すべて同じとは限らない点には注意が必要だ。

 また、機種や通信事業者によっては、アプリのインストールに制約があったり、インストールできないものもある。iモードでも「iアプリ」でゲームなどができたが、機種や通信事業者によってはこうした機能が使えなくなってしまう。アンドロイドがベースにはなっているものの、基本的には通話とメールとちょっとしたデータ通信をする人に向けた機種だと考えておくようにしたい。

<「知ってトクするモバイルライフ」は、毎週火曜日に掲載します>

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石野純也

石野純也

ケータイジャーナリスト

1978年、静岡県生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒。2001年、宝島社に入社。当時急速に利用者数を伸ばしていた携帯電話関連のムック編集に携わる。05年には独立してフリーランスのジャーナリスト/ライターに転身。通信事業者、携帯電話メーカー、コンテンツプロバイダーなどを取材、幅広い媒体に原稿を執筆する。業界動向を記したビジネス書から、端末の解説書まで著書も多い。

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