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ネタバレ注意!村上春樹「騎士団長殺し」は優れたホラー

重里徹也 / 文芸評論家、聖徳大教授

 前半とても面白くて夢中になって読み進んだのだけれど、途中から(第2部の真ん中あたりから)、やや物足りなさを感じた。村上春樹の新作「騎士団長殺し」2冊を数日間で読了しての率直な感想だ。

 主人公は36歳の画家。妻との離婚話が起きて、彼がある年の5月から9カ月余を神奈川県小田原市郊外の山荘で過ごした日々が描かれる。

 主人公の「私」が奇妙な世界に巻き込まれる一人称小説だ。しかも彼は、他の誰かによって描かれた図に従っ…

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重里徹也

重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。