社会・カルチャーベストセラーを歩く

フォーサイスが自伝「アウトサイダー」で描く数奇な人生

重里徹也 / 文芸評論家、聖徳大教授

 私は自分を元気づけてくれる本が好きだ。私に力を与えてくれる本には、いろいろな種類があるが、したたかな人物が社会のあり方や人間の業を踏まえたうえで、前向きに豊かな日々を生きる物語も、その一つだ。あまり理想主義的だと疲れてしまう。

 フレデリック・フォーサイスの自伝「アウトサイダー 陰謀の中の人生」(黒原敏行訳、KADOKAWA)は案にたがわず、そういう一冊だった。多彩な経験が簡潔な文章と細かい章立てで歯切れよく描かれる。翻訳者の功績も大きいのだろう。

 フォーサイスは1938年生まれ。ドゴール暗殺計画がテーマの「ジャッカルの日」、アフリカの小国にクー…

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重里徹也

重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。