又吉直樹さん=東京都新宿区で2017年4月9日、長谷川直亮撮影
又吉直樹さん=東京都新宿区で2017年4月9日、長谷川直亮撮影

社会・カルチャー青春小説の系譜

311万部芥川賞「火花」に続く又吉さん第2作は「劇場」

鶴谷真 / 毎日新聞学芸部記者

 発売前に情報を小出しにすることでファンの飢餓感をあおる商法はよくある。だが小説の世界で、タイトルや初版部数が小刻みに発表されるのは村上春樹さんぐらいのものだ。それが今や、お笑い芸人の又吉直樹さんもそうなった。

 何しろ、2015年の夏に芥川賞を受賞した「火花」は単行本が253万部、文庫は58万部の計311万部を記録する大ベストセラーになっている。ちなみに歴代の芥川賞受賞作の部数トップは、本欄で以前取り上げた村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」(1976年夏に受賞)で、約367万部である。

 その又吉さんの新作小説「劇場」が刊行された。「火花」が大反響を呼んだゆえ、受賞後の第1作を書くには…

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鶴谷真

鶴谷真

毎日新聞学芸部記者

1974年、神戸市出身。2002年毎日新聞社に入社し、岡山支局、京都支局を経て08年に大阪本社学芸部。13年秋から東京本社学芸部。文学を担当している。