1987年6月に化学兵器が投下されたイラン北西部サルダシュト=2010年9月20日、鵜塚健撮影
1987年6月に化学兵器が投下されたイラン北西部サルダシュト=2010年9月20日、鵜塚健撮影

グローバルWorld Watch(ワールド・ウオッチ)

シリア攻撃でえぐられた“化学兵器被害国イラン”の古傷

会川 晴之 / 毎日新聞北米総局長

 シリアで猛毒の神経ガス「サリン」が使用され、市民80人以上が亡くなった。トランプ米政権は「攻撃はシリア政府軍によるもの」と断定、シリア空軍基地に巡航ミサイルを撃ち込み、国際政治の焦点となった。一般市民への化学兵器使用は、国際法違反。一刻も早い事態究明と、責任追及を求められるのは当然だ。

 1カ月以上も前の事件なので、おさらいをしておきたい。事件が起きたのは4月4日早朝。シリア北部にあるイドリブ県ハンシャイフンだった。毎日新聞の篠田航一カイロ特派員が電話取材した現地の救急隊員は「ものすごい音がして外に出た。道ばたで多くの人が倒れており、子供もいた。息をしている人も呼吸の様子が変だった。せき込んだ後、のどの辺りを触って、そして次々に倒れていった」と伝えた。米軍がシリアを攻撃したのはその2日後。59発の巡航ミサイルを撃ち込んだ。

 電撃的な攻撃は世界に衝撃を与えた。約4年前に「サリン」が使用された時、「化学兵器の使用はレッドライ…

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会川 晴之

会川 晴之

毎日新聞北米総局長

1959年東京都生まれ、北海道大学法学部卒、87年毎日新聞入社。東京本社経済部、政治部、ウィーン支局、欧州総局長(ロンドン)などを経て、2016年4月から現職。日米政府が進めたモンゴルへの核廃棄計画の特報で、11年度のボーン・上田記念国際記者賞を受賞。日本発の核拡散を描いた毎日新聞連載の「核回廊を歩く 日本編」で、16年の科学ジャーナリスト賞を受賞。著書に「核に魅入られた国家 知られざる拡散の実態」(毎日新聞出版)。