富士フイルムホールディングスの記者会見=東京都中央区の東京証券取引所で2017年6月12日撮影
富士フイルムホールディングスの記者会見=東京都中央区の東京証券取引所で2017年6月12日撮影

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「悪事はばれる」富士フイルム子会社不正と隠蔽の全貌

編集部

富士フイルム第三者委報告書(1)

 富士フイルムホールディングスは6月12日、記者会見を開き、子会社、富士ゼロックスをめぐる不正会計に関する第三者委員会の報告書を公表した。報告書によると、富士ゼロックスのニュージーランドと豪州の販売子会社で、コピー複合機のリース契約に関し売上高の過大計上など不正な会計処理が行われていた。

 不正は2010年度から15年度の6年間にわたって行われ、修正すると累計375億円の損失になるという。不正会計といえば、2年前の東芝の不正会計が記憶に新しい。東芝は6年間で2248億円の利益水増しが発覚した。

 富士ゼロックスの不正の額は東芝に比べると約6分の1で、大きいとは言えない。だが、第三者委の報告書は企業のあり方として見逃せない事実を取り上げている。富士ゼロックスの副社長がこの不正について「隠蔽を指示した」と厳しく指弾しているのだ。

富士ゼロックスのニュージーランド子会社で不正

グループ会社で不正会計が見つかり、記者会見で質問に答える助野健児・富士フイルムホールディングス社長=2017年6月12日、中村藍撮影
グループ会社で不正会計が見つかり、記者会見で質問に答える助野健児・富士フイルムホールディングス社長=2017年6月12日、中村藍撮影

 富士ゼロックスは、1962年に富士フイルムと米ゼロックスが50%ずつ出資して設立され、国内で初めて普通紙のコピー機を販売した。01年に米ゼロックスが25%を富士フイルムに売却し、富士フイルムが株式の75%を保有する連結子会社となり、残る25%を米ゼロックスが保有している。

 富士フイルムは06年に持ち株会社富士フイルムホールディングスを設立し、事業会社の富士フイルムや富士ゼロックスが傘下にぶら下がっている。ホールディングスの年間売上高は約2兆5000億円で、富士ゼロックスはこのうち1兆1800億円の売上高があり、グループ内で最大の事業会社だ。その富士ゼロックスにいったい何があったのだろうか。

 不正の中心人物は、富士ゼロックスのニュージーランド販売子会社の社長だった、現地採用の外国人だ。この会社は年間売上高200億円程度の会社で、売上高に連動するボーナスや手数料収入を狙って、オフィス向けコピー複合機を複数年にわたってリース契約する際、売上高を多めに見積もり、前倒しで収支に計上する会計処理が常態化していた。後になって想定通りの収入が上がらないことがわかっても、適切な損失処理をしていなかった。

 リース契約での売上高前倒し計上は、設定した売り上げ数値を確実に回収できる見込みがあるなど、厳格な条件付きで認められていた。ところが、ニュージーランド販売子会社は、外国人社長の主導で、条件を無視して前倒し計上を行っていた。売り上げの過大計上で見かけ上の業績は絶好調で、この外国人社長が豪州販売子会社の社長に栄転し、その豪州でも同様の不正が行われたという。

会見場となった東京証券取引所の一室には多くの報道陣が集まった=2017年6月12日撮影
会見場となった東京証券取引所の一室には多くの報道陣が集まった=2017年6月12日撮影

富士フイルムに「不適切な会計の事実はない」と報告

 ここからがこの報告書のポイントである。ニュージーランド販売子会社の社長が手を染めた不正は、内部告発者のメールで富士ゼロックス幹部の知るところになる。さらにはニュージーランドの現地メディアが不正を報道し、親会社の富士フイルムの社長の耳にも届いた。これが15年から16年にかけてのことだ。

 ところが、富士ゼロックスの副社長や専務が不正の実態を隠し、内部告発に基づく調査は不十分なまま終わった。富士フイルムホールディングスに対しても「不適切な会計の事実はない」と報告し、内部告発をきっかけとした是正の動きを潰していくのだ。次回、報告書に書かれた「隠蔽」の詳細をリポートする。

 <次回「不正隠蔽の富士フイルム子会社はまるで“ミニ東芝”」>

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長く経済分野を取材してきた今沢真・毎日新聞論説委員を編集長にベテラン・若手編集者が経済・社会の最新情勢を追います。
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