ユニバーサルエンターテインメント本社が入居するビル=東京都江東区有明
ユニバーサルエンターテインメント本社が入居するビル=東京都江東区有明

政治・経済パチスロ最大手「大騒動」

大手パチスロ創業者会長が“事実上解任”の大騒動

編集部

 パチスロ機メーカー最大手、ユニバーサルエンターテインメント(ジャスダック上場)のオーナー創業者として実権を握っていた岡田和生会長(74)が、6月29日に開かれる定時株主総会で本人の意向に反して取締役から外される騒動が勃発している。会社側は任期満了に伴い、経営刷新を図るべく取締役人事を決めたと説明しているが、事実上の“解任”との見方が出ている。いったい何が起きているのか。

 岡田氏は1969年にジュークボックスのリース業を創業し、パチンコ・パチスロ機の製造販売に参入して一代で同社を築いた「ワンマン経営者」だ。2017年3月期の同社の売上高は1111億円、最終(当期)利益は186億円にのぼる。創業以来48年間にわたり、同社の最高権力者だった岡田氏がなぜ、取締役から外されることになったのか。

新任取締役候補に岡田会長の名前なし

 コトの経緯をたどってみよう。5月31日、ユニバーサルエンターテインメントは定時株主総会の取締役選任議案を発表した。岡田会長や富士本淳社長ら現取締役7人全員が任期満了となり、新たに7人を取締役に選任するとの内容だった。富士本社長ら取締役5人が再任される内容だったが、取締役名簿に岡田会長の名前はなかった。

 公表されたリリースには、岡田氏の“引退”についての説明はなく、「当社の議決権67.9%を保有するオカダ・ホールディングスより、株主総会でこの取締役人事に賛成する予定である旨の通知を得ている」と書かれていた。株式の3分の2以上を保有する筆頭株主が賛同しているため、取締役選任の議案は可決されるという予告である。

 オカダ・ホールディングスは、岡田会長が香港に設立した同族企業だ。岡田会長が株式の46.38%、長男の知裕氏が43.48%、長女の裕実氏が9.78%を保有している。岡田会長が実権を握っているはずの同族企業が賛成しているのだから、円満な引退、とも受け取れるリリースだった。

不正な疑いのある貸し付けで特別調査委を設置

 ところがそれから8日後の6月8日、事態が一気に動く。ユニバーサルエンターテインメントが「特別調査委員会設置のお知らせ」というリリースを発表した。岡田会長と取締役の1人が、2年前に適正な社内決裁なしに第三者に約20億円を貸し付け、不正な行為が行われた疑いがあるとの内容だった。

ユニバーサルエンターテインメントがリリースした「特別調査委員会設置のお知らせ」
ユニバーサルエンターテインメントがリリースした「特別調査委員会設置のお知らせ」

 リリースには、5月23日の臨時取締役会で常勤監査役からこの不正疑惑が報告され、これを受けて岡田会長と当該取締役に対し、すべての業務執行権限、命令権を停止したことも書かれていた。そして、不正疑惑を調べるため、社外の弁護士3人で構成する特別調査委員会を設置したというのだ。

 さらに6月19日、「特別調査委員会の調査状況に関するお知らせ」と題した追加リリースが公表された。岡田会長の同族企業が行った借り入れで、ユニバーサルエンターテインメントの韓国の孫会社に利息約1888万円を支払わせるなど新たに2件の不正疑惑が見つかり、調査を拡大しているとの内容だった。

 合計3回にわたって公表されたリリースの内容を、時系列に整理してみよう。5月23日の取締役会で、監査役が「岡田会長ら2人の不正の疑い」を報告した。それを受けて5月31日に開いた取締役会で、岡田会長と当該取締役の計2人を外した取締役選任案を決議した、という経過なのだ。現経営陣による創業者会長の“事実上の解任”という構図が浮かびあがる。

岡田会長の同族企業が会長外しに賛同

 ここで疑問が浮上する。筆頭株主のオカダ・ホールディングスが、なぜ会長解任に賛同しているのか。オカダ・ホールディングスの実権は岡田会長にあるはずだ。

 関係者によると、岡田会長の長男、長女が、会長に反旗を翻した、というのだ。長男、長女が保有するオカダ・ホールディングスの株式は、合計すると半数を超える。これまで、オカダ・ホールディングスの取締役は岡田会長1人だったが、5月12日に長男、長女がこの職を解き、新たに取締役2人を選任したという。

 そのうえで、オカダ・ホールディングスは、ユニバーサルエンターテインメントの取締役選任議案に賛同したというのだ。長男、長女と富士本社長ら現経営陣との間で何らかの協議が行われ、岡田会長を取締役名簿から外したのである。

ユニバーサルエンターテインメント本社が入居するビル=東京都江東区有明
ユニバーサルエンターテインメント本社が入居するビル=東京都江東区有明

 同社は岡田会長の主導で、フィリピン・マニラでカジノ・リゾート開発を進めており、昨年12月にホテルが部分開業した。このカジノ事業に関して、過去には不正の疑いのある資金が流れたことも取りざたされてきた。今回の約20億円の貸し付けという不正疑惑がカジノに関するものかどうか、公表されたリリースには記載されていない。

 編集部がユニバーサルエンターテインメントに一連の経緯について取材を申し入れたが、同社からは「特別調査委員会を設置し、調査中の事項を含むので取材申し込みはお断りさせていただきます」との返答があった。

 <次回「大手パチスロ株主総会の受付で創業者会長が“押し問答”」>

パチスロ大手で「前会長が22億円不正流用」報告書公表

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長く経済分野を取材してきた今沢真・毎日新聞論説委員を編集長にベテラン・若手編集者が経済・社会の最新情勢を追います。
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