映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」の1シーン/(c) Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016
映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」の1シーン/(c) Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016

くらし下流化ニッポンの処方箋

年間稼働所得213万円 母子世帯の「絶対的貧困」

藤田孝典 / NPO法人ほっとプラス代表理事

再び、女性の貧困(2)

 ケン・ローチ監督の映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」(2016年イギリス)は、英政府の社会保障制度にはじかれた人たちが、苦境に置かれながらも人間の尊厳を求めて懸命に生きる姿を描いています。

 主人公ダニエル・ブレイクは、非人間的で血が通わない社会保障の運用と官僚主義に抗議し、闘いましたが、異議申し立ての直前に亡くなります。ブレイクが助けたシングルマザーのケイティは、子供の新しい靴すら買えない困窮の中で、やむを得ず風俗の仕事に就きます。

 困窮や貧しさのつらさ以上に、職を得られず、社会から疎外され、そこからいつ抜け出せるか分からない閉塞…

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藤田孝典

藤田孝典

NPO法人ほっとプラス代表理事

1982年生まれ。NPO法人ほっとプラス代表理事、聖学院大学人間福祉学部客員准教授、反貧困ネットワーク埼玉代表。厚生労働省社会保障審議会特別部会委員。ソーシャルワーカーとして現場で生活困窮者支援をしながら、生活保護や貧困問題への対策を積極的に提言している。著書に「貧困クライシス 国民総『最底辺』社会」(毎日新聞出版)「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」「ひとりも殺させない」「貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち」など。