ユニバーサルエンターテインメントのパチスロ機
ユニバーサルエンターテインメントのパチスロ機

政治・経済パチスロ最大手「大騒動」

パチスロ大手で「前会長が22億円不正流用」報告書公表

編集部

 パチスロ機メーカー最大手、ユニバーサルエンターテインメント(ジャスダック上場)のオーナー創業者として実権を握っていた岡田和生・前会長(74)が、6月の株主総会で事実上“解任”された問題で、その引き金となった岡田氏の20億円余りの不正な資金流用疑惑を調べていた同社の特別調査委員会が30日、調査報告書を公表した。

ユニバーサルエンターテインメントが開示した「調査報告書」
ユニバーサルエンターテインメントが開示した「調査報告書」

 報告書は、調査していた3件について、いずれも岡田氏が主導し、側近の前取締役に指示して不正行為を行い、少なくとも22億円の損害を会社に与えたと認定した。流用した資金は、美術品の購入など岡田氏の個人的な使途が目的であり、同氏が独断で行ったことは重大な内部手続き違反だと指摘している。

 不正を認定した報告書を受けてユニバーサルエンターテインメントは、「岡田氏および前取締役に対するしかるべき措置を検討する」とのコメントを発表し、法的措置を検討する構えだ。

流用した資金のうち8億円で美術品購入

 岡田氏らの不正流用疑惑は、5月23日に開かれた同社取締役会で監査役から報告された。同社は、当時会長だった岡田氏らを業務執行停止処分にし、6月8日に特別調査委(委員長、政木道夫・元東京地検検事)を設置して調査していた。

 報告書によると、岡田氏は2015年、自分の同族企業であるオカダ・ホールディングス(本社・香港)が第三者に貸し付けた約20億円を回収するため、側近の取締役に命じて、ユニバーサルエンターテインメントの香港子会社から、第三者の個人企業に20億円を貸し付けさせた。この20億円は直後にオカダ・ホールディングスに還流し、岡田氏はこのうち8億8700万円を美術品購入の支払いに充てた。

オカダ・ホールディングスの本社と、ユニバーサルエンターテインメントの子会社がある香港
オカダ・ホールディングスの本社と、ユニバーサルエンターテインメントの子会社がある香港

 岡田氏は同年、ユニバーサルエンターテインメントの香港子会社に2億円の小切手を勝手に振り出させ、現金化させた。また、同社の韓国子会社の預金を、無断で同族企業の土地購入資金の担保として提供させた。

 報告書は、一連の不正は岡田氏が独断で取締役に命じて行ったことで、重大な内部手続き違反だとしている。また、同族会社への担保提供については、社員から「会社法の特別背任罪に抵触する」と反対されたが実行したという。

岡田氏は特別調査委の事情聴取を拒否

 岡田氏は特別調査委の事情聴取を拒否。前取締役は聴取に応じた。同社によると、調査が続いている間に、岡田氏が前取締役の自宅に行き、「すべてお前がやったことだ」と脅したという。

ユニバーサルエンターテインメントのオーナー創業者で、会長として実権を握っていた岡田和生氏=2017年6月29日午前10時撮影
ユニバーサルエンターテインメントのオーナー創業者で、会長として実権を握っていた岡田和生氏=2017年6月29日午前10時撮影

 報告書は、岡田氏が創業者オーナーとして強大な権力を持っており、自分に反対する役員や社員をやめさせるなど、人事権を独占していたと指摘。役員や社員が岡田氏の指示に反対できず、その結果、岡田氏が独断で不正行為を繰り返していたと説明している。

 ユニバーサルエンターテインメントは6月29日の定時株主総会で、岡田氏と側近の取締役を再任しなかった。岡田氏は総会会場に姿を現し、総会への出席を求めたが、会社側は受付でこれを拒否し、岡田氏を会社から事実上、追放していた。岡田氏は、同社の議決権の67%を持つ同族企業の実権も、親族から奪われている。

 総会出席を拒否された直後、岡田氏は経済プレミア編集部の取材を受けた。岡田氏は、20億円の不正流用疑惑について、「(同社がフィリピンで行っている)カジノ・リゾート開発に関連して貸し付けた。融資契約の期限は今年11月であり、間違いなく返済される」と主張。「不正なものではない。特別調査委にはすべて話す」と説明していた。

 <次回「大手パチスロ前会長側が「不正認定は名誉毀損」と反論」>

ユニバーサルエンターテインメント

 岡田氏が1969年にジュークボックスのリース業として創業した。その後、パチンコ・パチスロ機の製造販売に参入し、パチスロ機メーカーでは最大手。フィリピンでカジノ・リゾート事業に参入し、16年12月に一部がオープンした。2017年3月期の連結売上高は1111億円、最終(当期)利益は186億円。

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長く経済分野を取材してきた今沢真・毎日新聞論説委員を編集長にベテラン・若手編集者が経済・社会の最新情勢を追います。
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