思い邪なし

思い邪なし20 三時間泣きのごてやん(二)

北康利 / 作家

第一章 勝ちに見放されたガキ大将

三時間泣きのごてやん(二)

 「大変な甘えん坊で、母親がつれなくしたと思うとすぐに泣きだす。家の八畳間の隅っこのほうに寝ころがって、バタバタ手足を鳴らしながら泣くわけです。近所にもかっこうが悪いし、さすがに母親が来て、『もう泣きなさんな』と言ってくれると、なお甘えて泣くわけです。手に負えないものですから、そのうち母親が行ってしまう。すると今度は私を見捨てて行ってしまったといって泣くんですね」

 稲盛は大好きだった母親についてこうも語った。

この記事は有料記事です。

残り1006文字(全文1241文字)

北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。