社会・カルチャー青春小説の系譜

林真理子「葡萄が目にしみる」思春期の真っすぐな思い

鶴谷真 / 毎日新聞学芸部記者

 やや太り気味で、パッとしない容姿の乃里子(のりこ)は葡萄(ぶどう)農家の娘。その「弘明館(こうめいかん)高校」時代の青春を描くのが1984年刊行の「葡萄が目にしみる」(角川文庫)だ。屈強かつ子どもっぽく、女子の圧倒的人気を集めるラグビー部員の岩永に注ぐ乃里子の視線が物語を貫き、読者を汗くさくてほこりっぽい高校の中へ引き込んでいく。

 著者は82年にデビューし、今や押しも押されもせぬ人気作家の林真理子さん。弘明館のモデルは文武両道の…

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鶴谷真

鶴谷真

毎日新聞学芸部記者

1974年、神戸市出身。2002年毎日新聞社に入社し、岡山支局、京都支局を経て08年に大阪本社学芸部。13年秋から東京本社学芸部。文学を担当している。