急騰するビットコイン
急騰するビットコイン

政治・経済ビットコイン狂騒曲

急騰する「ビットコイン」危うさの中にある可能性

平野純一 / 経済プレミア編集部

 ビットコインが急騰中だ。いま1ビットコイン(BTC)は83万円の値がついている。1年前は7万~8万円だったので、1年間で10倍以上になった。

 「仮想通貨」と呼ばれるビットコイン。「リアル」な1万円札を手にすれば、人はお金を持っていることを実感できる。だが「仮想」と言われると、何かえたいのしれないものというイメージを持つかもしれない。事実、誰かが「ビットコインを持つ」といっても、それは世界のどこかのコンピューターの中にある数字や記号の羅列でしかない。

 しかし、ビットコインの認知度はかなり広まってきた。ビットコインで支払いができるお店も、ビックカメラ、HIS、メガネスーパーなどと増え、国内で約1万店が対応できるようになった。

ビックカメラではビットコインで支払い可能
ビックカメラではビットコインで支払い可能

 ビットコインの時価総額は14兆円を超え、仮想通貨全体でも時価総額はすでに23兆円に達しているという。仮想通貨と円との交換を行う「取引所」で国内最大のビットフライヤーの口座数は約100万に達した。

分散型システム「ブロックチェーン」

 ビットコインを成立させているのは「ブロックチェーン」と呼ばれる「分散型」のシステム。世界中のコンピューターで取引記録を分散させて記録していくものだ。銀行預金の記録は銀行が持つ巨大なメインフレームコンピューターの中にあるが、ブロックチェーンは管理者すらいない。

 取引の記録は1メガバイト分の情報を1ブロックに詰め込み、約10分に1回、このブロックをつくる。マイナー(採掘者)と呼ばれる人たちがコンピューターで難しい計算式を解いて、一番早く解いた人が1ブロックを閉じる権利を獲得し、12.5BTC(1037万円)を報酬(マイニング料)として得ることができる。

 マイナーが利益を得るために競争してくれることで、ビットコインは成り立っている。そのブロックは、ビットコインが始まった2009年1月に1個目ができ、連綿とつながって、現在は49万ブロックあたりに達している。

マイニングで勝つためには強力なコンピューターが必要
マイニングで勝つためには強力なコンピューターが必要

 金融資産のように価値を持つモノの取引の正確な記録は、信頼できる管理者が集中的に行わない限り不可能とするのが一般的な考え方だったが、管理者がいない分散型のシステムで可能になったことは画期的なことなのだ。

ナカモトサトシの論文に始まる

 ビットコインは、2008年10月にナカモトサトシと名乗る人物が、ビットコインの基となる論文を発表したことが起源。09年1月にコインの配布が始まり、同年10月に初めて成立した取引は1BTC=0.00076ドルだった。現在の価格の約1000万分の1。もしこの時に1BTCを手に入れていれば、現在はおよそ1000万ドル、11億円の大金持ちになっていた。

 ナカモトサトシとはどんな人なのか、日本人なのかそうでないのか、男性か女性か、個人なのかグループなのか、何も明らかになっていない。

 ビットコインの「口座」に当たる「ビットコイン・アドレス」は30ケタ程度のアルファベットと数字が入り交じったもので表される。最初から存在するアドレスで、ナカモトサトシ氏が開発の一線から姿を消して以降、1ビットコインの出し入れもされていないアドレスが存在するらしい。しかも大量のビットコインが保有されている。それがナカモトサトシの口座に違いないとマーケットでは語られている。

分裂を繰り返して混乱

 ただ、最近のビットコインには困った問題も起きている。ビットコイン開発の中心的な役割を果たす「コアメンバー」やマイナーの利害関係や意見の相違から、「分裂」を起こしているのだ。

口座数が増えているビットフライヤー
口座数が増えているビットフライヤー

 8月1日には、ビットコインから分裂した「ビットコインキャッシュ」が生まれた。さらに10月24日には、香港のマイナーが「ビットコインゴールド」を発足させるとしたが、まだ本筋のビットコインのブロックチェーンから分岐後の最初のブロックが成立しておらず、今後どのような推移を見せるのか不透明だ。さらには11月後半には、もう一つの分裂が予想されるなど、混乱を見せている。

 もし、ビットコインゴールドが、きちんとした新しい仮想通貨の誕生と認められれば、取引所の口座にあるすべてのビットコインに、同じだけのビットコインゴールドが付与されることになる。だが、まだその確証は得られていないようだ。

 ビットフライヤーの金光碧CFO(最高財務責任者)は「ビットコインゴールドに関しては、今後きちんとした新しい仮想通貨として存在していくかどうかが確認されていません。当社としては、それが確認された後に口座を持つ人に1BTC当たり1ビットコインゴールドを付与することになります」と話し、ビットコインゴールドはまだ市場で認知された存在ではない。

 ビットコインはこれまでの通貨の概念を超える、21世紀の新しい通貨となりうるのか。国際通貨研究所の志波和幸主任研究員は「ドルや円など普通の通貨に比べれば、その規模は微々たるもの。さらに現在は支払いのために持つというより、値上がりを期待した投機資金が大量に入っている。もっと冷静に見ていく必要がある」と警鐘を鳴らす。

 ビットコインの確たる姿はまだ見えないが、ビットコインやその他の仮想通貨について最新の動きをリポートしていく。

ビットコイン狂騒曲は随時、掲載します。次回「ビットコイン30%急落の要因に「分裂中止」の余波」>

中国の規制で日本企業にビットコインの好機到来?

ビットコインは11月に再び「分裂の危機」がくる

「マイナー」の欲と利益で成り立つビットコイン

仮想通貨「ビットコイン」分裂と乱高下の理由を知る

5倍値上がりビットコイン バブルか単なる通過点か

平野純一

平野純一

経済プレミア編集部

1962年生まれ。87年毎日新聞社入社。盛岡支局、サンデー毎日編集部、経済部、エコノミスト編集部などを経て2016年から現職。金融、為替、証券、マクロ経済などを中心に取材。

イチ押しコラム

知ってトクするモバイルライフ
手のひらにしっかり収まる「アクオスR2コンパクト」。発売は1月

日本人の好みに応えたシャープ・アクオス小型スマホ

 シャープが、小型スマホの「アクオスR2コンパクト」を開発。ソフトバンクから2019年1月に発売されるほか、SIMフリーモデルとし…

ニッポン金融ウラの裏

NISAに最初の「5年満期」更新しないと非課税消滅

 少額投資非課税制度(NISA)が初めての期間満了を迎える。一定の手続きによって、さらに5年間の非課税期間延長となるが、いま、証券…

藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」
地下化されたワルシャワ中央駅上の広場。スターリン建築と民主化後のビルが林立する(写真は筆者撮影)

西に移動させられた国ポーランド 首都ワルシャワの今

 ◇ポーランド・ワルシャワ編(1) 36年前、高校の文化祭のディベートで、「史上最大の英雄は誰か」というお題に、「ポーランドで共産…

メディア万華鏡
週刊文春11月1日号

メディア騒がすドタキャン沢田研二の「格好いい老後」

 騒ぎ過ぎじゃないか。取り上げ方の息もなんだか長い。ジュリーこと沢田研二さん(70)が、10月17日にさいたまスーパーアリーナで予…

職場のトラブルどう防ぐ?

「部下の夫から連日クレーム」42歳女性上司の困惑

 A美さん(42)は、夫が院長を務めるクリニックの事務長を務めています。2カ月前から経理担当として働いているB子さん(33)の夫か…