思い邪なし

思い邪なし29 郷中教育(三)

北康利 / 作家

第一章 勝ちに見放されたガキ大将

郷中教育(三)

 赤穂義士の討ち入りが行われた十二月十四日になると、小学校一年の時から全校生徒が講堂に集められ、いわゆる「義臣伝読み」が行われる。

 校長先生が赤穂義士伝を読み聞かせ、彼らがいかに忠義の心に厚かったかを教えるのだ。

 「義臣伝読み」の日は必ずと言っていいくらい凍えるほど寒い。

 当時の稲盛は学校への行き帰りは勿論(もちろん)、校内でも靴下などはかずに素足に草履履きだった。下駄…

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。