思い邪なし

思い邪なし32 隠れ念仏(二)

北康利 / 作家

第一章 勝ちに見放されたガキ大将

隠れ念仏(二)

 禁制下の慶応年間、小山田の村人の一人がかくれ念仏の番役であることが露見し、役所から呼び出しがかかったとき、稲森(盛)長一という者がこれをかばったとする文献があるという(粕谷昌志著『「隠れ念仏」について』)。

 稲盛の母方の祖母は小山田出身で、キミのところに畩市(けさいち)の縁談が来たとき大変喜んだ。それは畩市が隠れ念仏を体験しているに違いなかったからだ。

 隠れ念仏は一種の通過儀礼のような面を持っていた。

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。