思い邪なし

思い邪なし43 鹿児島大空襲(二)

北康利 / 作家

第一章 勝ちに見放されたガキ大将

鹿児島大空襲(二)

 障子の向こうに火の手が見えた瞬間、畩市(けさいち)は、

 「逃げるぞ!」

 と叫んで全員を起こし、少し離れた防空壕(ごう)へと全員を避難させた。その上で彼は家に残した精進料理を取りに帰り、風呂敷に包んで戻ってきた。これがあとで大変役に立った。

 そうこうするうちに、どんどん火の手が近付いてくる。

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。