スキル・キャリア孔子は働く人の水先案内人

「学問のすすめ」で孔子を痛烈批判した福沢諭吉の思惑

羽深成樹 / 前内閣府審議官

 儒教は、江戸時代に全国に広まり、論語は教科書として愛読されてきた。しかし、明治時代になると、これを批判する意見も現れた。その先鋒(せんぽう)が福沢諭吉である。福沢は、論語を含めた「四書五経」と呼ばれる基本書を読破し、儒教に精通していたが、その上で、痛烈な論語批判を展開した。

300万部の大ベストセラー

 「学問のすすめ」は、広告や販路確保が十分にできなかった当時で、300万部も売れ、国民の10人にひとりが読んだといわれる大ベストセラーである。その中で、福沢は、次のように言う。

 論語には、「民はこれに由(よ)らしむべし、これを知らしむべからず」とある。これは民を見下す考え方だ…

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羽深成樹

羽深成樹

前内閣府審議官

1958年千葉県生まれ。81年東大法学部卒、大蔵省(現財務省)に入省。大蔵省主計局主査、防衛省大臣官房審議官、首相秘書官、財務省主計局次長、内閣府政策統括官などを経て、内閣府審議官。2017年7月退任。著書に「論語と『やせ我慢』」(PHP研究所)。