首里城をバックに那覇市内を走るモノレール
首里城をバックに那覇市内を走るモノレール

政治・経済素顔の沖縄けいざい

「1%経済・沖縄」を下支えしているのは今も公共投資

渡部晶 / 沖縄振興開発金融公庫副理事長

 沖縄県の県内総生産は、最新の2014年度のデータで4兆511億円(名目)だ。これは、日本全体の0.8%にあたる。就業人口(日本全体の1.0%)や小売業の年間販売額(同0.9%)などの主な経済指標も、おおむね全国の1%前後だ。このことから、沖縄では、県の経済を全国の「1%経済」という。

 産業構造は、サービス業や卸・小売業などの第3次産業が84.5%(全国平均73.4%)で圧倒的だ。一方、農林漁業の第1次産業が1.5%(同1.0%)、製造業・建設業などの第2次産業が13.9%(同24.3%)である。

 沖縄県は、第2次産業が東京に次いで少なく全国46位、第3次産業は東京に次いで多く全国2位で、東京に近い産業構造になっている。

建設中の浦添北道路
建設中の浦添北道路

単位面積あたりの行政投資の多さ

 もう一つ、難しい行政用語だが、「可住地面積あたりの行政投資額」の多さでも、東京と沖縄は比較的似ている。やさしく言うと、国や地方自治体が行っている道路、港湾、学校といった「投資額」を、人が住める面積で割ったものだ。

モノレールの那覇空港駅
モノレールの那覇空港駅

 この投資額には用地取得費も含まれている。このため都市部はもともと行政投資額が多くなる。東京は人口も多いため、人が住める面積1平方キロメートルあたりの行政投資額は16億5900万円(14年度)で、都道府県別ではダントツだ。

 一方の沖縄県は、3億4700万円で全国で6位。全国平均の約1.8倍だ。他の都道府県より社会資本整備の水準が低いため、その差を埋めようと行政の投資が今も行われているからだ。

 そして、特徴的なのが、沖縄県の14年度の行政投資額のうち、国が62%を負担していることだ。国負担の全国平均は34%なので、国の負担がかなり大きくなっている。

建設中の那覇空港第2滑走路(瀬長島から撮影)
建設中の那覇空港第2滑走路(瀬長島から撮影)

那覇市周辺で進む公共プロジェクト

 国民がどこに住んでも、同じような公的なサービスを受けられるよう政府は努めている。民間経済が弱い地方では、公的部門の支出や投資が大きくなる。県民総所得に対する公的支出の割合は、沖縄県は都道府県のなかで5番目に高い。一番高いのは高知県、次いで鳥取県だ。投資を担う沖縄県の建設業の比率は東京都の倍以上あり、沖縄県における主産業の1つだ。

 かつて沖縄本島では断水が常態化していたが、ダムの建設効果で1994年以降、給水制限がゼロになった。また、都市モノレールが整備され、那覇空港から那覇市中心部まで10分余で到着できるようになった。現在も、東京五輪前の供用開始を目指した那覇空港の滑走路の増設や、都市モノレールの延長(19年開通予定)、港湾整備などが進められている。

沖縄県宜野座村にある漢那ダム=内閣府沖縄総合事務局・北部ダム統合管理事務所提供
沖縄県宜野座村にある漢那ダム=内閣府沖縄総合事務局・北部ダム統合管理事務所提供

 那覇市とその周辺地域はいま、こうした公共投資を中心とする建設ラッシュで経済は活況を呈している。高度成長期には、公共投資が前向きかつ肯定的にとらえられていた。那覇市の現状をみるにつけ、「昭和が生きている」という思いにとらわれる。

    ◇    ◇

 財務省、内閣府や地方自治体の役職を歴任し、沖縄をはじめとする地域振興行政に深く関わってきた渡部晶・沖縄振興開発金融公庫副理事長が、沖縄の経済にかかわる話をつづります。原則として月1回の掲載です。

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渡部晶

渡部晶

沖縄振興開発金融公庫副理事長

1963年福島県生まれ。87年京都大学法学部卒、大蔵省(現財務省)に入省。福岡市総務企画局長、財務省地方課長兼財務総合政策研究所副所長、内閣府大臣官房審議官(沖縄政策担当)などを経て、17年6月から現職。沖縄をはじめ、地域振興の仕事に携わってきた。「月刊コロンブス」(東方通信社)で書評コラムを掲載中。

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