仏パリで2016年9月撮影
仏パリで2016年9月撮影

IT・テクノロジー知っておきたい電気自動車

仏英中3カ国が宣言「脱ガソリン、電気自動車シフト」

村沢義久 / 環境経営コンサルタント

 各国政府による脱ガソリン車の動きが相次いでいる。まず、2017年7月、フランスは、40年までに国内におけるガソリン車およびディーゼル車の販売を禁止すると発表。パリ協定の議長国が二酸化炭素(CO2)削減の先頭に立つ意義は大きい。

 フランスの動きにイギリスが続いた。同じく7月に40年から石油を燃料とするガソリン車とディーゼル車の販売を禁止すると明らかにした。

 両国政府の動きの背景として、これまでヨーロッパで普及してきたディーゼル車のエコカーとしての限界が認識されてきたことがある。15年9月のフォルクスワーゲン(VW)による排ガス不正問題発覚がそのきっかけだが、元々ディーゼル車のCO2の排出量はガソリン車よりやや少ないというだけなので、エコカーと呼べるものではない。そのため、他のヨーロッパ各国も同様の規制を採用する可能性がある。

大気汚染の深刻化が背景の中国

 さらに中国が17年9月、自動車各社に一定の新エネ車生産を義務付ける新たな環境規制を導入し、ガソリン車の生産・販売禁止の検討を始めたことが明らかになった。この背景には、中国における大気汚染の深刻化がある。

 世界最大の自動車市場である中国の「脱ガソリン車」の動きは、各国の自動車メーカーの戦略に大きな影響を及ぼすことは間違いない。

 19年にも導入される可能性がある規制案は、各自動車メーカーの生産、販売規模に応じて一定比率の新エネ車生産を義務付ける方式のようだ。

 メーカーの動きも活発化してきた。スウェーデンのボルボは17年7月、19年以降に発売する全車種を電動化する方針を表明。ドイツのBMWも、全てのモデルに電動車を用意すると発表している。

仏英中3カ国の先を走るノルウェー

 フランス、イギリス、中国のさらに先を行くのが北欧のノルウェーだ。ノルウェー政府は、走行時にCO2を排出しないゼロエミッション車以外の乗用車の新規登録を25年に禁止する方針を決定した。エンジンも搭載するプラグインハイブリッド車(PHV)すら禁止するという急進的なものだ。

 25年まであとわずかだが、ノルウェーは、すでに電気自動車(EV)が普通に走る国になっており、実現するだろう。 

 同国内で17年1月に販売された乗用車のうち、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンのみを備えた自動車の比率は48・6%となり、初めて5割を切った(ノルウェーの調査会社OFVが発表)。

 代わりに伸びているのが電動車で、そのうちPHVは20・0%、電気自動車は17・5%、合計すると37・5%に達した。電気自動車の保有台数も順調に増えている。ノルウェー電気自動車所有者協会によると、16年12月13日に、国内の電気自動車の保有台数が10万台を超えた。ノルウェーの人口は520万人だ。次の目標は20年の40万台だという。

 車種も多様で、日産「リーフ」、テスラ「モデルS」、BMV「i3」、VW「eーゴルフ」などが普及している。

電気自動車保有者には税金免除

 このように電気自動車の普及が加速した理由としては、オーナーへの優遇策が大きい。自動車購入の際の税金や25%もの付加価値税が免除されるなどにより同じ車種なら電気自動車の方が安く購入できるし、バスレーンの走行が許されていたり、有料道路が無料といった特典がある。

 充電インフラも充実している。首都オスロでは集合住宅での設置費用を補助するほか、民間企業と共同で商業施設やオフィスビルの駐車場に充電設備の導入を進めている。

 <「知っておきたい電気自動車」は毎週月曜日に掲載します>

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 この連載は、村沢義久さんの著書「図解・EV革命」(毎日新聞出版、税込み1512円)をウェブ用に編集したものです。書店やアマゾンなどの通販でご購入ください。

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村沢義久

村沢義久

環境経営コンサルタント

1948年徳島県生まれ。東京大学工学部卒業、同大学院工学系研究科修了。スタンフォード大学経営大学院でMBAを取得後、米コンサルタント大手、べイン・アンド・カンパニーに入社。その後、ゴールドマン・サックス証券バイス・プレジデント(M&A担当)、東京大学特任教授、立命館大学大学院客員教授などを歴任。現在の活動の中心は太陽光発電と電気自動車の推進。

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