思い邪なし

思い邪なし66 フィロソフィ(一)

北康利 / 作家

第二章 京セラ設立

フィロソフィ(一)

 特磁課の仕事が軌道に乗り始めた頃、松風工業の碍子(がいし)の輸出を担当していた第一物産(現三井物産)が、松風の経営が思わしくないというので実態調査に来た。

 調査団の団長は第一物産顧問の吉田源三。戦前にはニューヨーク支店長を務め、一家言ある大物として知られていただけに、松風側は緊張して出迎えた。

 その吉田が調査も終盤にさしかかったところで突然、

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。