思い邪なし

思い邪なし73 結婚を決意する(一)

北康利 / 作家

第二章 京セラ設立

結婚を決意する(一) 

 製造部技術第二課長に就任した昭和三十三年(一九五八年)は十月五日から東京、名古屋と出張が続き、U字ケルシマの生産能力向上のため東奔西走していた。

 しかしこの忙しい中、仕事人間の彼の頭の中を、珍しく仕事以外のことが占めていた。結婚のことである。相手は須永朝子。スト破りの時に活躍してくれた例の女性だ。

 社会人になってから、稲盛にまったくロマンスがなかったわけではないが、最初につきあった女性は結婚まで…

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。