思い邪なし

思い邪なし75 退社を決意した日(一)

北康利 / 作家

第二章 京セラ設立

退社を決意した日(一)

 マイクロ波通信網計画は米国のGE社が中心になって推進し、日本では正力松太郎率いる日本テレビが主導していた。

 それは民主主義諸国を広くカバーする通信網を構築することで、共産主義勢力に対抗しようというアメリカの世界戦略の一環であったと言われているが、当時の稲盛には知るよしもない。

 高周波のマイクロ波を出す真空管は、従来のようなガラスのチューブではだめで、例のフォルステライト磁器…

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。