思い邪なし

思い邪なし78 退社を決意した日(四)

北康利 / 作家

第二章 京セラ設立

退社を決意した日(四)

 西枝からも交川(まじかわ)からも厳しい言葉を浴びたが、それでも青山はひるまなかった。

 「稲盛君の情熱は並外れている。必ず大成する」

 交川も言い返す。

 「情熱だけで事業は成功するのか?」

 これにはたまらず、じっと横で話を聞いていた稲盛が言葉をはさんだ。

 「将来きっとニューセラミックスの時代がきます!」

 だが結局この日はそれ以上話が進まず、もやもやした思いを抱えたまま、とりあえず辞去した。思惑が外れて…

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。