思い邪なし

思い邪なし79 朝子との結婚(一)

北康利 / 作家

第二章 京セラ設立

朝子との結婚(一)

 一度に辞めては会社に迷惑がかかる。そろそろと少しずつ辞表を出していき、最後に伊藤謙介が退社して全員がそろった。そして松風工業を退社した翌日、朝子と結婚式を挙げた。

 会場は京都・東山の蹴上(けあげ)にあった京都市の施設。ケーキとコーヒーだけの質素な披露宴だった。血判状の七人のほか、鹿児島から両親と美智子が、大阪から川上が参列してくれた。

 美智子は京都の水道の水がすごく冷たかったのに驚いたことを記憶しているという。

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。