思い邪なし

思い邪なし80 朝子との結婚(二)

北康利 / 作家

第二章 京セラ設立

朝子との結婚(二)

 長春は東京帝国大学から博士号を贈与され、京都のタキイ種苗の農場長をしていたが、戦後、GHQの憲兵がジープでタキイの農場にやって来てこう告げた。

 「日本ですばらしい業績をあげている禹長春に帰国してもらい、キムチの材料である白菜の改良に取り組んで欲しいと韓国政府から要請が来ている」

 こうして長春は朝鮮半島に渡ることになった。小春は夫が活躍できるチャンスだというのでこころよく送り出…

この記事は有料記事です。

残り945文字(全文1153文字)

北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。