思い邪なし

思い邪なし85 世界一を目指して(一)

北康利 / 作家

第二章 京セラ設立

世界一を目指して(一)

 創立記念式典当日の夜、稲盛は河原町三条近くの中華料理店に役員、幹部を集め、門出を祝う宴(うたげ)を催した。なんとかこの日を迎えることができたという安堵(あんど)感に加え、これから暴れまくってやるという高揚感も手伝って、こう言って気炎をあげた。

 「今にきっと原町一になってみせようやないか。原町一になったら、西ノ京一の会社を目指そう。西ノ京一になったら、中京区一を目標にしよう。次は京都一、京都一が実現したら日本一になろう。日本一になったら、もちろん世界一だ!」

 会社を発展させるための青写真や戦略があったわけではない。それでも「今にきっと日本一、世界一になるぞ…

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。