東京モーターショーで三菱自動車が公開したSUV型の電気自動車=2017年10月25日、西本勝撮影
東京モーターショーで三菱自動車が公開したSUV型の電気自動車=2017年10月25日、西本勝撮影

IT・テクノロジー知っておきたい電気自動車

「電池を制するメーカー」が巨大EV市場を制する

村沢義久 / 環境経営コンサルタント

 世界最大の中国市場に対し、日系メーカーによる電気自動車(EV)投入の動きも本格化してきた。まず、日産自動車は新型「リーフ」を2018年以降に中国に投入し、さらに新しい電気自動車を複数車種そろえる計画だ。

 日産自動車は、ルノー・三菱自動車を加えた3社連合でも中国向け電気自動車ラインアップの強化を図る。

 この3社連合は、22年に全世界の年間販売目標1400万台のうち3割を電動車にする計画を持っていて、そのため、新規で全世界で12車種を投入する。また、3社でEV用の車台や部品を共有化する。

 ホンダは、18年中に中国専用車を投入することを17年4月に発表し、同年9月になって具体策を示している。それによると、ホンダは現地合弁会社である広汽ホンダと東風ホンダの2社と共同で電気自動車を開発し、合弁会社それぞれのブランドで販売するという計画だ。

 さらにトヨタ自動車もマツダと共同開発した電気自動車を19年をめどに中国で売り出す予定だと報じられている。

コスト低減の中心は「電池」

 戦場は完成車市場だけではない。部品数が少なく、技術的なハードルが低い電気自動車で勝ち残るためには、性能や乗り心地での差別化は難しい。そのためコストが極めて重要な要素になるのだが、その中心になるのが電池である。メーカーにとって、どんな電池をどこからどう調達するかは極めて重要な戦略だ。

 電池の分野でも中国が国別シェアの半分以上を占めており、今後完成車のみならず、電池市場でも他国を圧倒してくるものと思われる。

 日産自動車はNECとのリチウムイオン電池の共同事業の電池製造拠点を中国企業に売却することを決めた。コストの大きな部分を占める電池の製造は、自社で作るより、中国に任せた方が得策と考えたからだ。

電気自動車が走り回る中国の街なか

 筆者は16年11月、中国の深圳と西安、それからチベット高原のゴルムドを訪問した。旅の目的は中国通信機器大手訪問などだった。

 10年ぶりの訪問となった深圳では、その発展ぶりに目を見張ったが、お目当ては町を走る電気自動車。何しろ、世界一の電動車メーカーであるBYDの本社所在地なのだから。

 まず、空港で見たのが、客待ち中の「e6」タクシー。BYDが11年に発売した電気自動車。値段が高いこともあり、もともと一般ユーザーではなくタクシー向けに作られた電気自動車だ。実際の航続距離300キロ以上なので、タクシーとしても使い勝手は悪くない。

 翌日、中国通信機器大手の本社に行く途中、最初に見たのがテスラの「モデルX」。次に高速道路では、BYDの「唐」に出合った。16年の中国電動車売り上げ第1位だった車だ。BYDは最近、電動車の車名をそれまでのアルファベットと数字の組み合わせから中国の王朝名に変えている。その第1号が13年発売の「秦」で第2号が「唐」。ともにプラグインハイブリッド車(PHV)だが、「秦」には電気自動車もある。中国の電気自動車パワーのすごさを実感した。

 <「知っておきたい電気自動車」は毎週月曜日に掲載します>

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村沢義久

村沢義久

環境経営コンサルタント

1948年徳島県生まれ。東京大学工学部卒業、同大学院工学系研究科修了。スタンフォード大学経営大学院でMBAを取得後、米コンサルタント大手、べイン・アンド・カンパニーに入社。その後、ゴールドマン・サックス証券バイス・プレジデント(M&A担当)、東京大学特任教授、立命館大学大学院客員教授などを歴任。現在の活動の中心は太陽光発電と電気自動車の推進。

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