思い邪なし

思い邪なし105 鹿児島工場建設(一)

北康利 / 作家

第三章 世界を見据えて

鹿児島工場建設(一)

 現在、鹿児島には川内、国分、隼人と、京セラの工場が三つある。郷里への感謝の気持ちを忘れないというのは成功者に共通した美質であろう。ちょうど滋賀に次ぐ新たな工場用地を物色していた頃、最初に話のあったのが川内だった(元鹿児島工場)。

 工場建設に先立ち、稲盛は何度も鹿児島に通ったが、キミの手料理が食べたくて実家に泊まった。同行した幹部社員も一緒だ。

 みな八畳間に枕を並べて寝てもらった。大体四、五人だが、多い時は十人も泊めた。それでもキミは嫌な顔一…

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北康利

北康利

作家

1960年生まれ。東大法学部卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年みずほ証券を退職し、本格的に作家活動に入る。著書に「白洲次郎 占領を背負った男」、「吉田茂 ポピュリズムに背を向けて」など。