テスラ・モーターズの「ロードスター」=2009年11月2日、大久保渉撮影
テスラ・モーターズの「ロードスター」=2009年11月2日、大久保渉撮影

IT・テクノロジー知っておきたい電気自動車

「時価総額でGM超え」テスラへの期待は狂気の沙汰か

村沢義久 / 環境経営コンサルタント

テスラの衝撃(1)

 米国のシリコンバレーを拠点とする電気自動車(EV)メーカー、テスラ。テスラについては、「衝撃」という言葉以外に見当たらない。2003年に創業。5年後の08年には早くも第1号電気自動車である「ロードスター」を発売。その後も電気自動車を矢継ぎ早に出し、今や世界の電気自動車メーカーのリーダー格だ。

販売規模100倍の「巨人」を抜く

 17年4月10日、アメリカの株式市場に衝撃が走った。テスラの時価総額(株価に発行済み株式数を掛けたもの)が一時ゼネラル・モーターズ(GM)を超え、アメリカ自動車企業で首位に立ったのだ。

 テスラはその1週間前に業界2位のフォード・モーターを抜いたばかり。わずか1週間で3位→2位→1位と躍進したことになる。

 テスラの株価は同日、一時313ドルとなり時価総額は約510億ドル(当時の為替レートで約5兆6400億円)に達した。16年の販売台数はGMの996万台に対して、テスラは10万台にも届かないが、販売規模100倍の巨人を追い抜いた。

 ちなみに、17年4月時点でトヨタの時価総額は16兆9000億円で、テスラ、GMの3倍以上であった。

フォード以来の上場自動車メーカー

 証券業界ではこのようなテスラへの過度の期待先行に対し、「狂気の沙汰」との見方もあるが、時代が変わる時にはこういうことがよく起こるのではないだろうか。ただし、その後半年でGMの株価が32%も上昇したため両社の時価総額は再逆転した。18年3月時点では、再びテスラのほうが上回っている。

 テスラが米国の新興企業向け株式市場であるナスダック(NASDAQ)に株式を上場したのは創業から7年後の10年6月29日。上場価格は17ドルだった。その時点で、四半期ベースで赤字続きだったにもかかわらず上場できたのだが、電気自動車への期待の大きさがテスラの上場を後押ししたと考えられた。

 また、自動車メーカーの新規上場は1956年のフォード・モーター以来半世紀ぶりであったことも人気の要因であった。

上場時に調達した資金で新車開発

 テスラは上場により2億2600万ドル(約200億円)を調達し、その資金は「モデルS」「モデルX」などの開発に使われた。そのテスラは、17年3月、中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)から1960億円の出資を受け、中国での工場建設の準備を進めている。

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村沢義久

村沢義久

環境経営コンサルタント

1948年徳島県生まれ。東京大学工学部卒業、同大学院工学系研究科修了。スタンフォード大学経営大学院でMBAを取得後、米コンサルタント大手、べイン・アンド・カンパニーに入社。その後、ゴールドマン・サックス証券バイス・プレジデント(M&A担当)、東京大学特任教授、立命館大学大学院客員教授などを歴任。現在の活動の中心は太陽光発電と電気自動車の推進。

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