社会・カルチャーベストセラーを歩く

自分の命をかけて行動した「大西郷」とは何者か

重里徹也 / 文芸評論家、聖徳大教授

 NHK大河ドラマの影響で西郷隆盛がブームになっているが、この人ほどわかりにくい人物は日本史上でも珍しいのではないか。大久保利通は随分と輪郭が明快なのに、西郷は底知れない雰囲気が漂い、そのイメージが一つに収まらない印象を受ける。

 磯田道史の「素顔の西郷隆盛」(新潮新書)が売れているのも、西郷とはどういう人物なのか、端的に教えてほしいと思う読者が多いからだろう。この本はそんな思いに応えるように、俊英の歴史家らしい筆で、簡潔にわかりやすく西郷を描いている。

 まず、西郷を生んだ薩摩の土壌から書き起こされる。ここで印象的だったことを二つ挙げよう。一つは具体的…

この記事は有料記事です。

残り1313文字(全文1591文字)

重里徹也

重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。

イチ押しコラム

知ってトクするモバイルライフ
インタビューに答えたアップルのフィリップ・シラー上級副社長

アップル副社長が語る「iPhoneを支えるAIのスゴさ」

 iPhone XS、XSマックスの発売から、3カ月がたとうとしている。価格を抑えたXRも、11月に登場した。今年のiPhoneは…

ニッポン金融ウラの裏
 

日本では育たない?独立系金融アドバイザー「IFA」

 リテール証券の営業の新たな担い手として注目されているのがIFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)だ。証券会社や銀行から独立し、…

藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」
「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」は慰霊碑であるとともに現代アートのマスターピースでもある(写真は筆者撮影)

ベルリンで藻谷氏が見た「ナチスの忌まわしい記憶」

 ◇ドイツ・ベルリン編(2) 28年ぶりに訪れたベルリンは、ドイツの首都らしく堂々とした、しかしどこか人影が少なく人工的な雰囲気の…

職場のトラブルどう防ぐ?
 

「有休取らない社員」年5日取得義務化でどう変わる

 A夫さん(46)は、社員数約50人のソフトウエア開発会社の経営者です。3年ほど前から社員の働き方を見直したり、年次有給休暇の取得…

メディア万華鏡
「伝統と創造の会」総会に臨む稲田朋美氏=衆院第2議員会館で2017年12月11日、川田雅浩撮影

本当の敵は誰なのか?「名誉男性」批判へのモヤモヤ感

 「稲田朋美って『名誉男性』なんだって。分かる」というメールが友人から届いて以来、モヤモヤが続いている。 ◇稲田朋美氏に続き杉田水…