高齢化時代の相続税対策

円満相続が10年後に暗転 「争族」いさめた82歳母

広田龍介・税理士
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 東京都心に近い住宅地に住むA子さん(82)は10年前に夫を亡くした。主な遺産は、自宅の土地(相続税評価額1億1500万円)と建物(同1200万円)▽隣接する築10年のアパートの土地(同8250万円)と建物(同1000万円)▽金融資産5000万円--だった。

「ありがとう」亡父へ家族の感謝

 家族はA子さんと長男(45)、長女(40)の3人。長男長女はすでに独立しており、3人で遺産相続について話し合った。まず、自宅の土地建物と金融資産5000万円はA子さんが受け継いだ。アパートは家賃収入が月約50万円あり、兄妹2人の「生活の足しになる」ということから、2人が2分の1の共有で相続することにした。さらに生命保険金4500万円があり、1人1500万円ずつ受け取った。

 相続税は総額約2000万円。相続税には「配偶者の税額軽減」の特例があり、A子さんの納税はなかった。…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。